こんにちはキャリーライフ中川です。
空き家の問題を聞くと、「なぜそのままにしているのだろう」「売るか解体すればいいのでは?」と思うかもしれません。
実際には、空き家を放置したくて放置している人ばかりではありません。
売りたいけれど家の中に物が残っている。
相続したけれど兄弟で話がまとまらない。
遠方に住んでいて、何から始めればよいのか分からない。
親が暮らした家なので、簡単には手放せない。
こうした事情が一つではなく、いくつも重なることで、「何とかしなければ」と思いながら、時間だけが過ぎてしまう。これが、空き家が放置される大きな理由の一つです。
今回は、空き家がそのままになってしまう背景を、実家や家族の視点から考えます。

目次
1.空き家は「何もしない人」がつくるとは限らない
2.空き家が放置される7つの理由
3.時間がたつほど判断しにくくなる
4.空き家になる前なら、できることが多い
5.まとめ|必要なのは「処分」より先に整理すること
1.空き家は「何もしない人」がつくるとは限らない
空き家という言葉には、「所有者が管理していない」「放置している」という印象があります。
もちろん、長期間管理されていない住宅が問題になることはあります。
しかし、その背景を見ていくと、所有者が無関心だからだけでは説明できないケースが少なくありません。
例えば、親が亡くなって実家を相続した子どもがいたとします。
本人は別の県に住み、自宅も持っています。実家に戻る予定はありません。それなら売却すればよさそうに見えます。ところが実家には、大量の家財。写真やアルバム。仏壇。親の書類。古い家具。子どもの頃の思い出の品。などが残っています。
さらに兄弟姉妹がいれば、「家を残したい」「売った方がいい」「自分は関わりたくない」と考えが違うこともあります。こうなると、空き家の問題は単なる不動産の問題ではなくなります。
家族、物、相続、お金、感情が絡み合った問題になります。
2.空き家が放置される7つの理由
① 何から始めればいいのか分からない
実家が空き家になると、相続。名義変更。家財整理。不動産査定。修繕。売却。賃貸。解体。さまざまなことが一度に出てきます。
普段から不動産や相続に関わっていない人にとっては、「最初に誰へ相談すればいいのか」
すら分かりにくいものです。分からないことが多いほど、最初の一歩を後回しにしてしまいます。
② 家の中に物が多すぎる
実家を売ったり貸したりする前に、多くの場合、家の中を整理する必要があります。何十年も家族が暮らした戸建てには、想像以上の物が残っています。
家具や家電だけではありません。衣類。食器。本。写真。アルバム。書類。趣味の道具。子どもの頃の物。一つずつ確認していると、簡単には終わりません。
参照:「なぜ実家は物が多いのか?」
特に、「これは捨ててよいのだろうか」と迷う物が多いほど、片付けは進みにくくなります。
③ 家族の意見がまとまらない
相続人が複数いる場合、「売りたい」「残したい」「いつか使うかもしれない」「親が大切にしていた家だから処分したくない」など、考え方が違うことがあります。
誰か一人が進めたくても、家族全員の気持ちが整理できていなければ、話は止まります。
実家は単なる資産ではなく、家族それぞれに思い出がある場所です。だからこそ、合理性だけでは決められないことがあります。
④ 遠方に住んでいる
実家と現在の住まいが離れていることも、大きな負担です。一度実家へ行くだけでも、
交通費。移動時間。仕事の調整。宿泊。などが必要になる場合があります。
家財整理、不動産会社との打ち合わせ、役所の手続きなどで何度も現地へ行くとなれば、負担はさらに大きくなります。「次に帰省したときにやろう」と思っているうちに、半年、1年と過ぎることがあります。
⑤ お金がどのくらいかかるか分からない
空き家を整理するにも費用がかかります。
家財処分。修繕。草刈り。建物管理。解体。登記や相続の手続き。状況によって必要な費用は大きく変わります。金額が分からないと、「相談したら高額な費用がかかるのでは」と不安になり、相談そのものを避けてしまう場合もあります。
結果として、何もしない状態が続きます。
⑥ まだ使うかもしれないと思っている
実家を空き家にした直後は、「将来自分が住むかもしれない」「子どもが使うかもしれない」「週末に使えるかもしれない」と考えることもあります。
すぐ結論を出せないこと自体は悪いことではありません。
実際、以前取り上げたように、実家を二拠点生活などに活用する方法もあります。
問題は、「いつか使うかもしれない」のまま、何年も判断しないことです。
使うならどう使うのか。使わないならどうするのか。一度区切りを決めて考えることが必要になります。
参照:「実家で二拠点生活はできる?」
⑦ 親の家を手放す気持ちになれない
そして、数字では測りにくいのが感情です。
玄関。居間。自分の部屋。庭。家族で囲んだ食卓。実家には、そこで暮らした時間が残っています。親が亡くなった直後に、「では売却しましょう」と言われても、気持ちが追いつかないことがあります。
これは決断力がないからではありません。家を整理することが、親との時間まで整理するように感じられることがあるからです。
だから実家の問題では、物件としての判断と同時に、家族の気持ちを整理する時間も必要になります。
3.時間がたつほど判断しにくくなる
「今すぐ困っていないから、しばらくこのままでいい」そう考えることもあります。
しかし、空き家は人が住まなくなった瞬間に止まるわけではありません。
庭木は伸びます。雑草も増えます。建物も少しずつ古くなります。郵便物もたまります。
そして家族の状況も変わります。最初は親の家だったものが、時間がたつと子ども世代の相続問題になり、
さらに次の世代へ引き継がれる可能性もあります。
判断を先送りするほど、問題がなくなるとは限りません。
むしろ、誰が所有しているのか。誰が管理するのか。何を残すのか。どのくらい費用がかかるのか。確認することが増えていく場合があります。
ただし、「早く売らないといけない」という意味ではありません。必要なのは、すぐ処分することではなく、今どんな状態なのかを把握することです。
4.空き家になる前なら、できることが多い
空き家になってから、家財。相続。名義。建物。家族の気持ち。を一度に整理するのは大変です。しかし、親がまだ実家で暮らしている段階なら、できることはたくさんあります。
参照:「空き家が900万戸あるのに、なぜ新築住宅を建て続けるのか?」
例えば、
家の名義を確認する。土地や建物の資料がどこにあるか確認する。親が大切にしている物を聞く。家の中にどのくらい物があるか知る。将来、この家に住みたい人がいるか話してみる。売る、貸す、残すなど、どんな選択肢があるか知っておく。これだけでも違います。
大切なのは、今すぐ答えを決めることではありません。
家族が、「この実家について、いつか考えないといけないね」と認識を共有しておくことです。
本人が元気なうちなら、
「この写真は残したい」
「この家具はいらない」
「この家は子どもに無理して残さなくていい」
など、本人の気持ちを聞くこともできます。
ところが空き家になったあとでは、その本人に聞けないことがあります。
だから、空き家対策のスタートは、空き家になってからではなく、まだ人が暮らしているときだと考えています。
5.まとめ|必要なのは「処分」より先に整理すること
空き家が放置される理由は、一つではありません。
相続。家財。遠距離。お金。家族関係。将来使う可能性。そして、家への想い。こうしたことが重なり、「何とかしたいけれど、何から始めればいいか分からない」状態になります。
だから空き家問題を、「早く売ればいい」放置するのが悪い」だけで考えると、実際の家族の状況とはずれてしまいます。
まず必要なのは、この家は誰のものなのか。何が残っているのか。家族はどう考えているのか。本人はどうしたいのか。これからどんな選択肢があるのか。を一つずつ整理することです。
売るか。貸すか。住むか。残すか。解体するか。答えは家族によって違います。
だからこそ、空き家になってから一気に答えを出すのではなく、まだ困っていないうちに、家族で実家のこれからを考えておく。それが、キャリーライフが考える「空き家予防」です。
空き家を減らすために最初に必要なのは、「家をどう処分するか」ではなく、その家と家族の状況を知ることなのかもしれません。
つづく