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「相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらった土地は、その後ずっと国が所有するのだろうか」制度について調べても、国へ渡した後のことまでは、あまり知られていません。

今回、広島県北広島町でその「その後」が見える事例が出てきました。

相続土地国庫帰属制度を利用して国有地となった約290㎡の宅地について、中国財務局が一般競争入札による売却を進めています。中国財務局が公表している物件情報では、土地は290.42㎡、最低売却価格37万4,000円です。新聞報道によると、相続土地国庫帰属制度で国が引き取った土地を売却するのは、広島県内では初めての事例です。相続した人が手放した土地が国へ移り、さらに新しい所有者を探す。

今回は、相続土地国庫帰属制度の「出口の先」を見ていきます。

目次

1.北広島町の土地が一般競争入札へ
2.国に帰属した土地は誰が管理する?
3.国が引き取った土地を売るのはなぜ?
4.土地を手放すことは「土地をなくすこと」ではない

1.北広島町の土地が一般競争入札へ

今回売却されるのは、広島県山県郡北広島町都志見にある土地です。中国財務局の公表内容では、登記上の地目は雑種地、現況は宅地で、面積は290.42㎡。最低売却価格は37万4,000円となっています。2026年度第1回の期間入札では、10月15日から26日まで入札を受け付け、11月12日に開札する予定です。一般競争入札では、国が設定した最低売却価格以上で、最も高い有効な価格を提示した人が落札者となります。

この土地は、もともと相続によって取得された土地でした。所有者が2023年に相続土地国庫帰属制度を利用し、国へ所有権を移したものです。

土地の流れを見ると、相続した人が所有 → 国へ帰属 → 国が売却となります。

相続土地国庫帰属制度は、「国が土地を永久に保有するための制度」というわけではありません。

2.国に帰属した土地は誰が管理する?

相続土地国庫帰属制度では、土地の所有権が国に移った後、法務局がその土地を管理し続けるわけではありません。法務省によると、主に農用地として利用されている土地は地方農政局、森林は森林管理局、それ以外の土地は財務局が管理します。

北広島町の今回の土地は宅地として扱われるため、中国財務局が管理・処分を進めています。

財務局が管理する未利用の国有地については、まず地方公共団体などによる公用・公共用の利用を優先します。

中国財務局では、公的利用の要望を一定期間受け付け、それでも利用予定がなければ、原則として一般競争入札により売却する仕組みになっています。

「国へ渡ったから、その土地はもう使われない」ということではありません。

新たな利用者が見つかれば、再び民間の土地として使われる可能性があります。

3.国が引き取った土地を売るのはなぜ?

「売れる土地なら、最初から相続した人が売ればよかったのでは?」という点です。

不動産は「売却できる可能性があること」と、「所有者が自分で売却できること」が同じとは限りません。

遠方に住んでいる。管理を続けることが難しい。売却活動に時間や手間をかけられない。買い手がいつ現れるか分からない。相続した本人に利用する予定がない。土地を手放したい理由は、価格だけではありません。

そもそも相続土地国庫帰属制度も、まったく管理や処分ができない土地を国が無条件で引き取る制度ではありません。法務省は、通常の管理や処分をするために過大な費用や労力が必要になる土地について、国庫帰属の対象外としています。建物がある土地、権利関係に争いがある土地、一定の危険な崖がある土地などは、申請できなかったり不承認となったりします。

言い換えれば、この制度は、「価値がない土地を国へ押し付ける仕組み」ではありません。一定の条件を満たした土地について、相続した人が管理責任から離れるための選択肢です。

そして国へ帰属した後に利用できる土地であれば、公的利用や売却によって次の使い手につなげることがあります。

4.土地を手放すことは「土地をなくすこと」ではない

今回の事例から見えてくるのは、土地の所有者が変わっていく一つの流れです。

相続した人にとっては不要だった土地でも、別の人にとっては使える土地かもしれません。

住宅を建てたい人がいるかもしれませんし、隣接地と一緒に利用したい人が現れる可能性もあります。すべての国庫帰属地が売却できるわけではありません。

一般競争入札をしても買い手が決まらないこともあります。中国財務局では、一般競争入札で落札に至らなかった物件について、対象となる場合は先着順で売却する仕組みも設けています。

それでも今回の事例には意味があります。土地について、「所有し続ける」「自分で売る」だけではなく、一定の条件を満たせば国へ帰属させ、その後、国が新しい利用者を探すという流れが実際に動き始めているからです。

これは土地を「処分する」というだけではなく、使わなくなった土地を、次に使う人へどうつなぐかという視点でも見ることができます。

まとめ

相続土地国庫帰属制度によって国へ移った土地は、そのまま永久に国が保有するとは限りません。農用地や森林以外の土地は財務局が管理し、公的な利用予定がなければ、一般競争入札などによって売却されることがあります。

今回、北広島町で売却される土地は290.42㎡、最低売却価格37万4,000円。10月15日から入札が始まります。相続した土地を手放した人がいる。国が引き取る。そして、その土地を必要とする新しい人を探す。

今回の広島県内初の事例は、相続土地国庫帰属制度が単なる「不要な土地の引き取り制度」ではなく、土地を次の所有者へつないでいく仕組みにもなり得ることを示しています。

前の記事で紹介した制度の条件や費用と合わせて見ると、「相続した土地をどうするか」という選択肢が、より具体的に見えてくるのではないでしょうか。

つづく