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こんにちはキャリーライフ中川です。

運転を続けられなくなる日の現実

高齢の親が車を運転していると、「いつまで運転して大丈夫なのだろう」と心配になることがあります。

本人は、「まだ大丈夫」「毎日乗っているから問題ない」と思っている。

家族は、「事故を起こしてからでは遅い」と思っている。

免許返納については、この本人と家族の考え方の違いがよく問題になります。現在の日本には、「80歳になったら必ず免許を返納しなければならない」という年齢による一律の返納制度はありません。自主返納は、本人の申請によって行う制度です。一方で、年齢を重ねれば身体機能や認知機能は変化します。また、一定の年齢になると免許更新時の検査も加わります。「何歳で返すか」は一律ではなくても、いつか運転を続けられなくなる可能性は誰にでもある。

今回は、その現実から免許返納について考えます。

目次

1.高齢になれば自動的に免許返納、ではない
2.75歳以上の死亡事故は免許保有者当たり約2倍
3.「まだ事故をしていない」だけで判断しない
4.返納する日ではなく、運転を終える時期を考え始める

運転免許には、高齢者を対象とした更新制度があります。現在は、免許更新時の年齢が70歳以上になると、高齢者講習を受講する必要があります。75歳以上になると、さらに認知機能検査等を受けることが必要です。認知機能検査では、記憶力や判断力について確認します。検査で「認知症のおそれがある」と判定された場合には、医師による診断を受けることになり、認知症と診断された場合は、所定の手続きを経て免許の取消しや停止となることがあります。さらに75歳以上で、過去3年間に信号無視、速度超過、安全運転義務違反など一定の違反歴がある人は、運転技能検査の対象になります。この検査に合格しなければ、免許を更新することはできません。制度としても、「高齢になっても本人が希望すれば、いつまでも同じように運転できる」という仕組みにはなっていません。

ただし、75歳だから危険。80歳だから運転できない。ということでもありません。年齢は一つの目安であり、実際の身体機能、認知機能、運転技能には個人差があります。

だからこそ難しい問題です。

「高齢者だけが事故を起こすわけではない」これはその通りです。若い人も事故を起こします。一方で、高齢になることによる運転リスクも数字として確認する必要があります。警察庁によると、2025年の75歳以上の高齢運転者による死亡事故は前年より減少しました。

しかし、免許保有者10万人当たりで見ると、75歳以上の運転者による死亡事故件数は75歳未満の約2倍となっています。事故原因にも違いがあります。自動車運転者による死亡事故を比較すると、75歳以上では「操作不適」が占める割合が75歳未満の約3.1倍でした。

その中には、ブレーキとアクセルの踏み間違いも含まれています。高齢になれば必ず事故を起こすわけではありません。しかし、視野。反応速度。判断。身体の動き。複数のことを同時に処理する力。こうした変化が運転に影響する可能性はあります。

本人自身がその変化に気づきにくいことも、難しさの一つです。

免許返納の話になると、「今まで事故をしたことがない」という言葉がよく出ます。40年、50年と安全運転を続けてきた人にとって、それは大きな自信です。長年の経験が、安全運転につながっている部分もあります。ただし、過去に事故を起こしていないことと、これからも同じように運転できることは別です。日常の小さな変化を見ることも必要です。

例えば、

  • 車庫入れで何度も切り返すようになった
  • 車に小さな傷が増えた
  • 運転後に疲れるようになった
  • 夜や雨の日の運転が怖くなった
  • 信号や標識への反応が遅れることがある
  • 道を間違えることが増えた
  • 家族が同乗すると以前より不安を感じる
  • 本人が「最近ちょっと運転が怖い」と話す

一つ当てはまったから、すぐ免許返納ということではありません。

以前と比べて変化が起きていないかを見ることです。選択肢は「今まで通り運転する」か「明日返納する」だけでもありません。

例えば、

夜は運転しない。

雨の日は乗らない。

高速道路を使わない。

行動範囲を近所までにする。

家族が定期的に同乗する。

安全運転支援機能を備えた車へ変える。

といった段階的な見直しも考えられます。

現在は本人の申請により、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などを備えた一定の「サポートカー」に運転できる車を限定する免許制度もあります。ただし、こうした安全装置は運転者を補助するものであり、事故を完全に防ぐものではありません。

免許返納で難しいのは、「いつが限界なのか」を本人も家族も判断しにくいことです。

事故を起こしてからなら、「やめた方がいい」という判断はしやすくなります。本来考えたいのはその前です。例えば70代になったら、「80歳まで絶対運転する」と年齢だけで決めるのではなく、「どういう状態になったら運転を見直そうか」と話しておく方法があります。

本人と家族で、

  • 自分で運転が怖いと感じ始めたら
  • 接触や小さな事故が続いたら
  • 家族が同乗して危険を感じるようになったら
  • 医師から運転について助言を受けたら
  • 認知機能や身体機能に大きな変化が出たら

といった判断材料を共有しておきます。

本人と家族だけで判断することが難しい場合には、都道府県警察の「安全運転相談窓口」を利用できます。全国共通の電話番号「#8080」では、高齢運転者本人だけでなく家族からの相談にも対応し、運転継続についての助言や自主返納制度などの案内を行っています。

家族だけで、返して」「まだ大丈夫」と言い合うより、第三者の意見を聞く方法もあります。

免許返納には、「80歳になったら必ず返す」という決まりはありません。自主返納は本人の意思で行う制度です。方で、70歳以上になると高齢者講習があり、75歳以上では認知機能検査等が必要になります。定の違反歴がある75歳以上の人は運転技能検査にも合格しなければ、免許を更新できません。そして統計を見ると、75歳以上の運転者による死亡事故は、免許保有者当たりでは75歳未満より高い状況にあります。

「高齢者は危険だから免許を取り上げればよい」という話でもありません。

考えたいのは、運転は一生続けられるものではない可能性があるということです。多くの人には、いつか自分で運転する生活から離れる時期が来ます。

事故が起きてから突然やめるのか。

本人が不安を感じ始めてから考えるのか。

まだ安全に運転できている時期から、少しずつ考えておくのか。

その違いは大きいと思います。

免許返納の準備とは、車の鍵を取り上げる準備」ではありません。本人自身が納得して運転を終えられる時期を、家族と一緒に考えておくこと。そこから始めることが大切です。

つづく