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こんにちはキャリーライフ中川です。

【お盆特集①】故郷と家族のかたちが変わっている

お盆になると、「実家に帰る」「お墓参りに行く」「親戚が集まる」という光景を思い浮かべます。毎年のように実家へ帰り、いつもの家で家族と食事をする。日本では長く当たり前だった風景です。これから先も同じ形が続くとは限りません。

親世代の高齢化。子どもの県外・都市部での生活。一人暮らし世帯の増加。そして、誰も住まなくなる実家の増加。変わり始めているのは住宅だけではなく、「帰る場所としての実家」のあり方そのものなのかもしれません。

お盆の時期だからこそ、今回は少し広い視点から、故郷と家族の変化を考えてみます。

目次

1.「お盆は実家へ帰る」が当たり前ではなくなっていく
2.家族が小さくなると、家を引き継ぐ人も少なくなる
3.空き家の約6割は「相続」で取得されている
4.これからの実家は「残す・なくす」だけではない

昔のお盆は、普段離れて暮らしている子どもや孫が実家へ集まる大切な機会でした。

祖父母がいて。親がいて。兄弟姉妹がいて。そこへ孫が帰ってくる。一軒の実家を中心に、複数の世代が集まる形です。ところが、日本の世帯構成は大きく変わっています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、一人暮らしの「単独世帯」は2020年の38.0%から、2050年には44.3%まで増えるとされています。2050年には、全世帯の約4割半が一人暮らしになる計算です。平均世帯人員も2020年の2.21人から減少し、2033年には初めて2人を下回ると推計されています。さらに高齢者の一人暮らしも増えていきます。

2020年から2050年にかけて、65歳以上の独居率は男性で16.4%から26.1%へ、女性で23.6%から29.3%へ上昇すると推計されています。

つまり、「親が実家を守り、子どもたちがそこへ帰る」という家族の形そのものが、少しずつ変わっていきます。

親が一人になり。

子どもは県外で家庭を持ち。

孫にとっては、実家ではなく「祖父母の家」になる。

さらに親が住まなくなると、その家は「帰省先」から「管理する家」へと役割が変わります。お盆に人が集まっている間は、実家がなくなる未来を想像しにくいものです。家族構成が変われば、住宅の役割も変わっていきます。

日本では高齢化が進み、2025年時点で65歳以上の人口は約3,619万人、総人口の29.4%を占めています。今後大きな問題になるのが「家を持つ高齢者」と「その家を使わない次世代」の組み合わせです。

例えば、

広島の実家に親が二人で暮らしている。

子どもは東京と大阪で、それぞれ住宅を購入している。

親が亡くなった後、兄弟のどちらも広島へ戻る予定はない。

珍しい話ではありません。

昔であれば、「長男が家を継ぐ」「誰かが地元へ残る」という形も多くありました。現在は、仕事、結婚、子育てなどによって生活拠点が分散しています。家を相続できることと、そこで暮らせることは別です。

住宅を所有すれば、

  • 固定資産税
  • 火災保険
  • 庭木や雑草
  • 建物の修繕
  • 台風後の確認
  • 防犯
  • 郵便物
  • 近隣への対応

なども引き継ぐことになります。

お盆に数日帰る場所としては大切でも、年間を通して維持する住宅として考えると、負担の見え方は変わります。「実家を残したい」という気持ちと、「誰が管理するのか」という現実。

これからは、この二つを分けずに考える必要があります。

全国の空き家は、2023年時点で約900万戸。住宅全体に占める空き家率は13.8%となり、いずれも過去最多となっています。さらに国土交通省が2025年に公表した「令和6年空き家所有者実態調査」では、調査対象となった空き家の57.9%が相続によって取得されたものでした。相続された空き家を見ると、7割を超える住宅が1980年以前に建てられたものです。そして、空き家になったきっかけとして最も多かったのは所有者の「死亡」で58.3%。次いで「転居」26.9%、「老人ホームなどへの入居」11.3%となっています。

ここから見えてくるのは、

空き家は、最初から空き家として存在しているわけではないということです。

かつては家族が暮らした家です。子どもが育った家。お正月やお盆に家族が集まった家。

そして親だけが暮らすようになり、最後に誰も住まなくなる。「実家」が「空き家」へ変わる境目は、意外と日常の延長にあります。さらに同調査では、相続される前に何らかの対策をしていた世帯は23%にとどまり、77%は特に対策をしていませんでした。事前に対策をしていなかったケースでは、対策をしていたケースに比べて、活用や解体の意向がないまま空き家として所有し続ける割合が約1.5倍になっています。

「そのときが来てから考えよう」としているうちに、誰も判断できない家になる。

これが、現在の空き家問題の一つの姿です。

子どもが地元へ戻らない家は、すべて処分すべきなのでしょうか。そうではありません。

実家には、それぞれ違う役割があります。

親が暮らしている間は住まいです。子どもにとっては故郷です。孫にとっては夏休みに遊びに行った場所かもしれません。

将来は、

  • 家族が引き継いで住む
  • セカンドハウスとして使う
  • 賃貸する
  • 地域で活用する
  • 売却して次の人へ渡す
  • 建物を解体して土地を活かす

など、別の役割へ変えることもできます。

大切なのは、「家を残すこと=家族を大切にすること」と決めつけないことです。

反対に、「誰も住まないから早く売ればいい」と決める必要もありません。

住宅と家族の関係は、時代とともに変わります。

親が住む家から、家族が集まる家へ。

家族が集まる家から、時々帰る家へ。

そして、いつか次の役割へ。その変化を自然なものとして考えることも、これからの実家との付き合い方ではないでしょうか。

お盆になると、多くの人が故郷や実家を思い出します。今年もいつものように家族が集まっていると、「この家はずっとここにある」ように感じます。日本では一人暮らし世帯や高齢者世帯が増え、家族の暮らす場所も分散しています。全国の空き家は約900万戸となり、相続をきっかけに実家が空き家になるケースも少なくありません。だからといって、お盆に家の将来を決める必要はありません。

ただ、「来年も、5年後も、この家には誰かが住んでいるだろうか」と少しだけ想像してみる。それだけでも、実家を見る景色が変わるかもしれません。

故郷とは、建物だけではありません。

家族が集まった時間。

地域とのつながり。

そこで育った記憶。

そして、その場所を次にどうつないでいくか。

家族のかたちが変わる今だからこそ、実家も「ずっと同じ形で残すもの」ではなく、家族の変化に合わせて役割を変えていくものとして考える時代になっているのかもしれません。

つづく