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こんにちはキャリーライフ中川です。

東京などの都市部では、20〜30㎡台のワンルームや1Kで一人暮らしをする人もいます。地方の100㎡を超える戸建住宅と比べると、かなり小さな住まいです。

それでも生活が成り立つのはなぜでしょうか。一つの答えは、住宅の中にないものを、家の外にある街の機能で補いやすいからです。駅、スーパー、飲食店、病院、コインランドリー、ジムなどが歩いて行ける範囲にあれば、住宅の中にすべての機能を持つ必要はありません。

もちろん「狭くても便利なら問題ない」という単純な話ではありません。

これからの住まいは、床面積だけではなく、家とその周辺を合わせた「生活圏」で考える必要がありそうです。

目次

1.なぜ都市部では小さな住宅でも暮らせる?
2.一人暮らしなら何㎡あれば十分?
3.地方の100㎡と都心の30㎡は比べられる?
4.これからの住まいは「玄関の外」まで見る

都市部でコンパクトな住宅への需要が生まれる背景には、一人暮らしの多さがあります。

2020年の国勢調査では、東京都の一般世帯のうち単独世帯は50.3%でした。すでに半数を超えています。全国平均の38.1%と比べても高い割合です。さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計では、東京都の単独世帯割合は2050年に54.1%になると見込まれています。

一人で暮らすのであれば、家族4人を想定した3LDKや4LDKが必要とは限りません。駅に近い場所の小さな住宅を選び、買い物や食事、運動などは家の外で済ませる。車を所有せず、電車やバスを利用する。こうした暮らし方なら、住宅の中で必要になる面積も変わってきます。

例えば地方の戸建住宅では、食品や日用品をまとめて保管する収納、車を置く駐車場、洗濯物を干す場所、来客用の部屋などを自宅の敷地内に持つことがあります。都市部では、それらの一部を街のサービスで代替できます。言い換えれば、「家の中だけで暮らしを完結させる」のではなく、「街も使いながら暮らす」という違いがあります。

一人暮らしなら20㎡や30㎡あれば十分なのでしょうか。ここは、数字だけでは決められません。

国がこれまで住生活の目安として示してきた居住面積水準では、単身者について「最低居住面積水準」を25㎡、「都市居住型誘導居住面積水準」を40㎡としてきました。最低居住面積水準は、健康で文化的な住生活を営むための基礎として必要な住宅面積の目安であり、単純に「25㎡あれば快適」という意味ではありません。同じ30㎡でも、暮らしやすさは違います。

収納が十分あるか、キッチンを使いやすいか、在宅勤務をする場所があるか、洗濯物をどこに干すか。荷物が多い人と少ない人でも必要な広さは変わります。住宅の仕事に長く関わっていると、「何坪あれば十分ですか」という質問を受けることがあります。

本来は先に、そこで何をするのかを考える必要があります。

一人でも自宅で仕事をするなら仕事部屋が欲しい人もいます。料理が好きならキッチンを重視するでしょう。趣味の道具が多ければ収納も必要です。反対に、外食が多く、休日も外へ出る生活なら、自宅に求める面積は小さくてもよいかもしれません。

住む人数だけで「適正な広さ」が決まるわけではないのです。

「地方なら同じ家賃で広い家に住める」という話を聞くことがあります。確かに住宅そのものを比べれば、その通りの場合もあります。ただ、住まいは建物だけで生活するものではありません。

例えば100㎡の戸建住宅でも、スーパーまで車で15分、病院まで20分、駅まで30分という場所なら、日常生活には車が欠かせないかもしれません。

一方、30㎡の住宅でも、駅まで徒歩5分、スーパーや病院が近く、公共交通でほとんどの場所へ行けるのであれば、別の意味で生活しやすい環境です。

国土交通省が2026年3月に策定した新しい「住生活基本計画」でも、これからの住まいについて、住宅の性能や規模だけでなく立地や生活・交通利便性を含めて考える方向が示されています。また高齢期についても、医療・福祉施設などの生活拠点が近く、多様な生活機能が身近にある住環境を重視しています。

地方の100㎡と都心の30㎡は、床面積だけでは暮らしやすさを比較できません。

住宅の広さに加えて、その家の外でどんな生活ができるのかを見る必要があります。

住宅を購入するとき、私たちは家の中をよく見ます。LDKは何畳あるか、収納はいくつあるか、寝室は何畳か、浴室は広いか。もちろん、それらは大切です。ただ、長く暮らすことを考えるなら、玄関から外へ出た先も同じくらい重要です。スーパーまでどのくらいかかるのか。病院へどうやって行くのか。車を使わなくなったら買い物はできるのか。公共交通はあるのか。歩いて行ける場所に人と接する場所があるのか。若い頃には「駅から多少遠くても広い家がいい」と考えていても、年齢や家族構成が変われば優先順位も変わります。

反対に、庭や趣味のスペースがあり、地域とのつながりもある今の戸建住宅で暮らし続けたいという人もいます。どちらが正解という話ではありません。重要なのは、住宅の広さと生活圏を別々に考えないことです。自宅の中にどこまで持つのか。家の外に何を求めるのか。この二つを合わせて初めて、自分に必要な「住まいの大きさ」が見えてくるのではないでしょうか。

都心で小さな住宅でも暮らしが成立しやすい背景には、単身世帯の多さだけでなく、住宅の周囲に多くの生活機能が集まっていることがあります。だから、住宅が30㎡だから暮らしにくい、100㎡だから暮らしやすいとは一概に言えません。広い戸建住宅には、収納や庭、家族が集まれる場所を持てる魅力があります。一方、コンパクトな住宅には、管理する範囲を小さくでき、便利な立地を選びやすいという考え方もあります。

これから住宅を見るときには、「何㎡あるか」に加えて、「玄関を出た先に何があるか」

も見てみる。これは若い一人暮らしだけの話ではありません。子どもが独立したあとの夫婦2人の暮らしや、さらに年齢を重ねた一人暮らしを考えるときにも、家の広さと生活圏のバランスは重要になります。住まいの価値は、建物の壁の内側だけでは決まりません。家と街を合わせて、自分の暮らしに必要な広さを考える。一人暮らしが増え、家族の形が変わっていくこれからは、そんな住宅の見方も増えていくのではないでしょうか。

つづく