こんにちはキャリーライフ中川です。
家族が通い続ける以外の方法
親が施設へ入り、実家に誰も住まなくなった。すぐに売る予定はないけれど、放っておくわけにもいかない。そんなとき、「月に一度くらいは見に行かないと」と、まず家族で何とかしようと考える家庭は多いと思います。
実家まで車で30分なら、それも一つの方法です。しかし、新幹線や飛行機を使う距離だったらどうでしょう。台風が来るたびに帰るのか。庭の草が伸びるたびに帰るのか。水漏れや雨漏りがないかを確認するために、何年も家族が通い続けるのか。遠方の実家では、「家をどうするか」より先に、「決まるまで誰が管理するか」が問題になることがあります。
今回は、実家をすぐ売る・残すと決められない期間に、家族だけで抱え込まない管理の方法を考えます。

目次
1.誰も住まなくなった家は、何を管理するのか
2.「家族が管理する」には限界がある
3.全部を任せなくても、管理は分けて頼める
4.空き家管理は「結論を先延ばしにすること」ではない
1.誰も住まなくなった家は、何を管理するのか
空き家の管理というと、庭の草刈りや郵便物の回収を思い浮かべるかもしれません。実際に誰も住まなくなった住宅では、建物の外だけでなく中の状態も確認する必要があります。国土交通省は、長期間使用しない住宅は不具合が発見されにくいため、傷みが早く進む傾向があるとして、建物の外部・内部の点検に加え、通気・換気、通水、清掃などを定期的に行うよう示しています。自分で対応することが難しい場合には、専門業者への依頼も選択肢としています。
例えば、久しぶりに実家へ帰ってみると、窓の周辺に雨染みができていたり、排水口から臭いが上がっていたり、庭木が隣地へ伸びていたりすることがあります。台風の後に瓦や雨どいが傷んでも、住んでいる人がいなければすぐには分かりません。空き家管理とは、単に「家の鍵を持って、ときどき見に行くこと」ではありません。
小さな異変を早いうちに見つけ、大きな修繕や近隣トラブルになる前に対応することが本来の目的です。そのためには、「月1回行けば大丈夫」と回数だけ決めるより、この家では何を確認する必要があるのかを先に整理した方が現実的です。
2.「家族が管理する」には限界がある
親が住まなくなった直後は、子どもが管理することもできます。帰省したときに換気をして、郵便物を取り、庭を確認する。家具や荷物を少しずつ整理することもできるでしょう。
問題は、それが半年で終わるのか、3年続くのか分からないことです。
最初は、「私が見に行くよ」と言っていた家族でも、仕事が忙しくなったり、自分の子育てや介護が始まったりします。兄弟姉妹がいても、実家の近くに住んでいる一人だけへ負担が偏ることもあります。そして遠方なら、建物を確認する数十分のために、一日を使って移動することもあります。
「家族だから家族が全部やらなければならないのか」ということです。
親の思い出の品をどうするか、家を将来どうするかという判断は、家族にしかできない部分があります。一方で、雨漏りがないか確認することや、庭木を剪定すること、定期的に室内を換気することまで、必ず家族本人が行わなければならないわけではありません。
家族にしかできないことと、他の人へ任せられることを分けるだけでも、遠方の実家との付き合い方は変わります。
3.全部を任せなくても、管理は分けて頼める
「空き家管理を頼む」というと、毎月すべてを管理会社へ任せるサービスを想像するかもしれません。もちろんそうした方法もありますが、実際には必要な部分だけを外へ頼む考え方もできます。
例えば、建物の確認や換気は空き家管理サービスへ依頼し、庭木の剪定は地元の造園業者へ頼む。台風や大雨の後だけ臨時で建物を確認してもらい、家族は数か月に一度、荷物の整理を兼ねて帰省するという方法もあります。近所に信頼できる親族がいるなら、異変があったときの連絡だけお願いして、実際の作業は専門業者へ頼むこともできます。
国の制度でも、2023年の空家法改正によって「空家等管理活用支援法人」という仕組みが設けられました。市町村から指定されたNPO法人や会社などが、所有者への相談対応や、委託を受けて空き家の状態を定期的に確認する業務などを行える仕組みです。指定状況や対応内容は自治体によって異なります。
大切なのは、サービスを利用すること自体ではありません。管理を頼むなら、「外から見るだけなのか、室内にも入るのか」「写真で報告してもらえるのか」「台風後の臨時確認はできるのか」「異常があったときは、誰へ連絡するのか」まで決めておくことです。
年に何回見てもらうかより、異変が起きたときにどう動く仕組みになっているかの方が重要です。
4.空き家管理は「結論を先延ばしにすること」ではない
ここは、実家を考えるうえで大切なところです。空き家管理のサービスを利用すれば、ずっと家を残しておけばよいという話ではありません。
一方で、「空き家になったのだから、すぐ売らなければならない」とも限りません。親が施設へ入ったばかりなら、自宅へ戻れる可能性を考える家庭もあります。親が亡くなった直後なら、家具や写真が残る家をすぐ片付ける気持ちになれないこともあります。兄弟姉妹で今後について話す時間が必要な場合もあります。そんなときの空き家管理は、決断を先延ばしするためではなく、落ち着いて決めるための時間を確保するものと考えることができます。
例えば、「まず1年間は管理しながら考える」と決めたなら、その間に不動産としての価値を調べ、家財を整理し、修繕状況や土地の書類を確認できます。半年後に家族で再度話す日を決めておくこともできます。こうすると、「とりあえずそのまま」が何年も続く状態とは違います。国の空き家対策でも、管理されないまま状態が悪化する前の段階から適切な管理を行う考え方が強化されています。管理が不十分な状態が続けば、市区町村から「管理不全空家等」として指導や勧告を受ける場合もあります。
実家を残すにしても、売るにしても、**「決めるまでの家をどう守るか」**は別に考えておく必要があります。
まとめ
遠方に実家があると、「誰かが定期的に帰らなければ」と考えがちです。もちろん、家族自身が実家を見ることには意味があります。写真や仏壇、親が大切にしていた物をどうするか。これから家を残すのか、売るのか。その判断まで他人へ任せることはできません。換気や通水、建物の点検、庭の手入れなど、日常的な管理まで家族だけで背負う必要はありません。家族がすることと、地域の人や専門業者へ任せることを分ける。
そして、誰が見るのか、どのくらいの頻度で見るのか、異変があったら誰が動くのか
を決めておく。実家をどうするかという結論がまだ出ていなくても、ここまでは決められます。むしろ結論が出ていない時期だからこそ、家を傷ませず、家族にも負担を集中させない仕組みをつくっておくことが重要です。
遠くの実家を考えるとき、「売る?残す?」だけではなく、「決めるまで、この家を誰が守る?」という問いも加えてみる。それが、遠方にある実家と無理なく付き合っていくための第一歩になるのではないでしょうか。
つづく。