親が介護施設へ入居し、実家に誰も住まなくなった。
そんなとき、「今まで入っていた火災保険を、そのままにしておけば大丈夫だろう」
と思うかもしれません。しかし、親が住んでいた家から、誰も住んでいない家へ変わった場合は、一度保険会社や代理店へ現在の状況を伝えて、契約内容を確認しておくことが大切です。
火災保険では、建物の構造や「どのように使われている建物か」といった情報が契約条件に関係します。日本損害保険協会も、建物の構造・用法の変更などは通知事項となる場合があると案内しています。
この記事では、親が施設へ入り実家に住む人がいなくなったときに、火災保険について家族が確認しておきたいことを整理します。

目次
1.親が施設に入ったら、まず火災保険の契約状況を確認する
2.実家の状況が変わったときに確認したい5つのこと
3.誰も住んでいない家にも事故や災害は起こる
4.火災保険だけでなく「実家をどう管理するか」を考える
5.まとめ|施設入居は実家の管理を見直すタイミング
1.親が施設に入ったら、まず火災保険の契約状況を確認する
親が施設へ入居しても、家の所有権が変わるわけではありません。
そのため、「火災保険も今までどおりでいい」と考えがちです。保険では、建物をどのように使用しているかも重要です。
日本損害保険協会では、火災保険について、建物を住居だけに使う「住宅物件」や、店舗・事務所などを含む「一般物件」など、用途によって区分や商品が異なると説明しています。また、契約後に建物の構造や用法などが変わった場合、契約内容によっては保険会社への連絡が必要になります。ここで大切なのは、「親が施設へ入った=現在の火災保険が必ず無効になる」ということではありません。
保険会社や商品、家の利用状況によって扱いが異なるため、今、誰が住んでいるのか。今後どう使う予定なのか。を伝えて確認することが第一歩です。
2.実家の状況が変わったときに確認したい5つのこと
① 現在の契約者と保険の対象
まず、保険証券や契約内容を確認します。
見るのは、
- 契約者は誰か
- 建物の所有者は誰か
- 建物だけか、家財も対象になっているか
- 契約期間はいつまでか
- どのような補償が付いているか
火災保険では、建物と家財は分けて契約します。日本損害保険協会も、建物と家財はそれぞれ保険の対象として契約する仕組みを案内しています。親が施設へ移ったあとも家財が大量に残っている実家は少なくありません。そのため、建物だけでなく、家財が現在どう扱われているかも確認しておきます。
② 保険会社へ「現在は住んでいない」と伝える
親が施設へ入居し、実家に日常的に住む人がいなくなった場合は、その状態を保険会社や代理店へ伝えます。火災保険では、契約時の前提となった建物の用途や状態が変わった場合、契約内容によって通知が必要になることがあります。
例えば、
「親が施設へ入居し、現在この家には誰も住んでいません」
「月に一度、家族が様子を見に行っています」
「今後売却するか、家族で使うかはまだ決めていません」
という現在の状況です。保険については、家族だけで判断せず、実際の契約を見ながら保険会社・代理店に確認するのが確実です。
③ 今後この家をどう使う予定か整理する
同じ「誰も住んでいない家」でも、今後の使い方はさまざまです。
例えば、
親が退院・退所して戻る予定がある。子どもが時々泊まる。二拠点生活に使う。賃貸に出す。
売却する。当面は空き家として管理する。などです。
今後の使い方によって、保険会社へ伝える内容や必要な補償の考え方も変わります。
相談の現場でも、「まだ決めていないから、そのままにしている」というケースがあります。将来の結論が出ていなくても、今現在、どういう状態の家なのかは整理できます「売るか残すか」が決まるまで何もしないのではなく、現在必要な管理だけ先に整えておくことが大切です。
④ 火災以外の補償内容も確認する
火災保険という名前から、「火事だけの保険」と思われることがあります。実際には商品や契約内容によって、風災・水災などによる損害が補償対象になるものもあります。日本損害保険協会も、火災保険には火災だけでなく、風水害などの自然災害を補償する商品があると案内しています。
ただし、どこまで補償されるかは契約によって異なります。
特に、
- 水災
- 風災
- 盗難
- 水漏れ
- 破損
などが現在の契約でどうなっているかは、一度確認しておくと安心です。なお、地震・噴火・津波による損害は、原則として通常の火災保険だけでは補償されず、地震保険が別に必要です。
⑤ 契約更新時期を確認する
親が施設へ入ったあと、家族が実家の保険まで把握していないことがあります。
「何年契約なのか分からない」「更新案内が実家へ届いている」「誰が支払っているのか分からない」という状態です。施設入居後は、郵便物の確認が遅れることもあります。
保険会社からの重要な案内を受け取れるよう、
- 契約者の住所
- 通知先
- 更新時期
- 保険料の支払い方法
も確認しておきます。日本損害保険協会も、契約者の住所や通知先を変更した場合には、保険会社へ連絡する必要があると案内しています。
3.誰も住んでいない家にも事故や災害は起こる
親が施設へ入ると、「誰も住んでいないのだから、火事の心配も少ないのでは」と思うことがあります。人が住んでいなくても家の管理は必要です。
例えば、
台風で屋根が傷む。
大雨で雨漏りする。
配管から水が漏れる。
庭木が伸びる。
郵便物がたまる。
窓や外壁が傷む。
といったことは、人が住んでいるかどうかに関係なく起こります。
むしろ誰も住んでいないと、異変に気づくまで時間がかかることがあります。火災保険を確認することはもちろん大切ですが、保険に入っているから家を放置してよいわけではありません。保険と家の管理は別に考える必要があります。
4.火災保険だけでなく「実家をどう管理するか」を考える
親が施設へ入ったとき、家族が最初に気にするのは、介護費用。施設との契約。住所変更。病院。生活用品。など、親本人のことが中心になります。実家のことは、どうしても後回しになりやすいものです。
しかし数か月たつと、草が伸びる。郵便物がたまる。設備が止まる。家財がそのまま残る。近所から連絡が入る。といった問題が少しずつ出てきます。
実際に住まいの相談を受けていると、施設入居をきっかけに、初めて「この家をこれからどうするのか」という問題が表面化することがあります。だからといって、すぐに家を売る必要はありません。
まず整理したいのは、誰が家を管理するのか。どのくらいの頻度で見に行くのか。保険はどうなっているのか。水道や電気はどうするのか。庭や外回りを誰が見るのか。家財をどうするのか。親は家についてどう考えているのか。という現在地です。
そのうえで、住み続ける。家族が使う。貸す。売る。残す。といった選択肢を考えます。
5.まとめ|施設入居は実家の管理を見直すタイミング
親が施設へ入ったからといって、火災保険をすぐ解約するとは限りません。
反対に、今までの契約を何も確認せず、そのままにしておけばよいとも限りません。
まず、現在の契約内容
- 誰が住んでいるか
- 今後の利用予定
- 補償内容
- 更新時期や連絡先
を確認します。そして、現在の状況を保険会社や代理店へ伝えます。火災保険は、実家管理の一部分です。
本当に大切なのは、親が住まなくなった家を、これから家族としてどう管理していくのか
を考え始めることです。施設へ入った直後に、売却や実家じまいまで決める必要はありません。ただ、「親がもう住んでいない家がある」という事実をそのままにせず、の状態を一つずつ確認しておく。それが、将来大きな負担を抱えないための空き家予防にもつながります。
つづく。