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こんにちはキャリーライフ中川です。

高齢者の「車なし生活」と親の住まいを考える

車があれば、スーパーまで10分。病院も銀行も、少し離れたホームセンターにもすぐ行ける。郊外や地方の戸建て住宅では、そんな暮らしが当たり前になっている家庭も多いと思います。高齢になって車を運転しなくなったらどうでしょうか。

今まで10分だった買い物が、急に難しくなることがあります。これは単なる「免許返納」の問題ではありません。車がなくなっても、その家で生活を続けられるのか。

高齢になった親の住まいを考えるとき、早めに確認しておきたい大切な視点です。

目次

1.車がないと買い物に行けない人は珍しくない
2.問題は買い物だけではない
3.免許返納の前に「車がない一週間」を考える
4.移動手段だけでなく、住まいそのものを考える
5.まとめ|車に乗れる今だから考えられること

高齢者の買い物の問題は、地方だけの話ではありません。農林水産省では、食料品店までの距離が遠く、自動車を利用しにくい高齢者などを「買物困難者」として捉え、食品アクセスの問題として対策を進めています。2025年度の全国市町村調査では、回答した市町村の89.3%が食品アクセスへの対策を「必要」または「ある程度必要」と回答しています。

さらに農林水産省は、高齢化や単身世帯の増加、小売店の廃業や商店街の衰退などによって、過疎地域だけでなく都市部でも買い物に不便や苦労を感じる高齢者が増えているとしています。

「田舎だから買い物に困る」という単純な問題ではありません。スーパーまでの距離。

坂道。公共交通機関の有無。バス停までの距離。荷物を持って歩けるか。

こうした条件によって、同じ市内でも暮らしやすさは大きく変わります。

そして、今は車を運転できるため、その不便さに気づいていない家庭もあります。

車を使わなくなったときに困るのは、買い物だけではありません。

例えば、

病院への通院。

銀行や郵便局。

市役所などの手続き。

美容院。

友人との交流。

趣味や地域活動。

こうした日常生活のさまざまな場面で移動が必要です。

車に乗っている間は、「この家は便利だ」と思っていても、実際には「車があるから便利だった」ということがあります。

ここは、高齢者の住まいを考えるうえで大きな違いです。

特に郊外の戸建て住宅では、スーパーまで車で10分。病院まで車で15分。駅まで車で20分。という暮らしも珍しくありません。

若いうちは何も問題がありません。しかし高齢になり、自分で運転できなくなれば、同じ家に住んでいても暮らしやすさは大きく変わります。

高齢者の運転というと、「いつ免許を返納するか」という話になりがちです。警察庁には、運転に不安を感じる高齢ドライバーや家族が相談できる安全運転相談窓口があり、運転免許の自主返納制度も設けられています。また、返納者向けに自治体や民間事業者が地域ごとの支援を行っています。

家族で本当に話しておきたいのは、「免許を返納するか」だけではありません。返納した翌日から、どう生活するのかです。

一度、「もし明日から一週間、車を使えなくなったら?」と考えてみると分かりやすくなります。

食料品はどう買うのか。

病院へはどう行くのか。

薬はどう受け取るのか。

重い物はどう運ぶのか。

雨の日はどうするのか。

こうして日常生活を一つずつ確認すると、本当に必要な移動手段が見えてきます。

地域によっては、路線バス。コミュニティバス。乗合タクシー。公共ライドシェア。移動販売。宅配サービス。ネットスーパー。家族や地域による送迎。などの方法があります。

国土交通省も、高齢者の移動手段を確保するため、交通と福祉を組み合わせた地域ごとの仕組みづくりを進めています。

大切なのは、免許返納を決めてから探すのではなく、車に乗れているうちから代わりの方法を知っておくことです。

それでも、代わりの移動手段だけでは解決しにくい場合があります。

例えば、スーパーまで遠い。公共交通がほとんどない。病院も遠い。坂道が多い。家族も遠方に住んでいる。いう環境です。

そこで考えたいのが、「この家で、車がなくなっても暮らし続けられるのか」ということです。

これは、「高齢になったら家を売りましょう」という話ではありません。今の家で暮らし続けたいのであれば、配サービスを使う。移動販売を利用する。タクシーなどを生活費として考える。家族のサポート方法を決める。住宅の中も高齢期に合わせて見直す。など、準備できることがあります。

一方で、「この場所では将来かなり生活が難しくなる」と分かれば、元気なうちに住み替えを考えるという選択肢もあります。

重要なのは、車を運転できなくなってから初めて考えないことです。親が70代、80代になってから、「そろそろ運転が心配だ」となったとき、実は免許だけの問題ではなく、これからどこで、どのように暮らすのかという住まいの問題が一緒に出てきます。

今、自分で車を運転して買い物に行けていると、「まだ大丈夫」と思います。

確かに今は困っていないかもしれません。しかし、車を運転できなくなったらスーパーへ行けるのか。病院へ行けるのか。公共交通は使えるのか。家族の送迎だけで生活できるのか。

宅配や移動販売は利用できるのか。一度確認してみると、その家の「将来の暮らしやすさ」が見えてきます。

高齢者の住まいを考えるときは、住宅の耐震性や断熱性、段差だけを見るのでは十分ではありません。

家の周りで生活を続けられるかという「立地」も、住まいの性能の一つだと私は考えています。

そして、これは高齢者本人だけの問題ではありません。

親が車を運転できなくなれば、買い物や通院を誰が支えるのか。遠方に住む子どもが毎回対応できるのか。やがて実家に誰も住まなくなったら、その家をどうするのか。題は少しずつ家族全体へ広がります。

だからこそ、車に乗れなくなってから考えるのではなく、まだ普通に運転できている今から考える。「もし車がなかったら、この家で生活できるだろうか?」親が元気なうちに、一度家族で考えてみる。それも、将来の住まいと実家を考える大切な準備ではないでしょうか。

つづく