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「親はまだ一人で暮らせている。でも、このままで大丈夫だろうか」「施設を考えるのは、介護が必要になってからでいいのだろうか」親の年齢が上がるにつれて、こんな不安を感じる家族は少なくありません。

ただ、最初から老人ホームを探す必要はありません。大切なのは、今の暮らしで何ができていて、何が少しずつ難しくなっているのかを整理することです。買い物、通院、食事、入浴、薬の管理、庭や家の手入れ。これまで普通にできていたことに負担が出始めたときが、これからの住まいを考える一つのタイミングです。

施設はその選択肢の一つです。自宅で支援を受けながら暮らす方法もあれば、家族の近くへ住み替える方法、高齢者向け住宅を選ぶ方法もあります。

親の住まいを考えるときに、施設探しより先に整理しておきたいことを分かりやすく紹介します。

目次

1.最初に見るのは「介護度」より日常生活の変化
2.今の家で暮らし続ける方法もある
3.施設・住み替えは本人の暮らし方から考える
4.施設を選ぶ段階で確認したい契約と運営状況

1.最初に見るのは「介護度」より日常生活の変化

親の住まいについて考えるきっかけは、必ずしも要介護認定や大きな病気とは限りません。むしろ最初に現れるのは、日常生活の小さな変化です。以前より買い物へ行く回数が減った。

車の運転をやめた。階段を使わなくなった。庭の草取りや剪定ができなくなってきた。薬の飲み忘れが増えた。家族が通院や買い物を手伝う回数が増えた。

こうした変化が重なると、本人は「まだ大丈夫」と感じていても、実際には家族の支援によって生活が成り立っている場合があります。

一方で、少し支援を加えるだけで、今の家で暮らし続けられることもあります。

見るべきなのは、「一人で全部できるか」ではなく、「今の暮らしを続けるために、どんな支援が必要になっているか」です。ここを整理すると、施設へ移る必要があるのか、それとも今の住まいで生活を続けられるのかが見えやすくなります。

2.今の家で暮らし続ける方法もある

親の生活に不安が出てくると、「そろそろ施設を考えた方がいいのでは」と考えがちです。しかし、住まいの選択肢は施設だけではありません。

訪問介護や通所サービスを利用する。配食や買い物支援を使う。手すりを付ける。段差を減らす。庭や住宅の管理を外部へ頼む。家族の支援方法を見直す。こうした工夫で、今の家での生活を続けられる場合もあります。

特に住まいの相談では、介護そのものより、「庭の管理ができなくなった」「車に乗れず買い物が難しい」「家が広すぎて掃除が負担になった」といった、生活や住宅管理の負担から住み替えを考え始めることがあります。

高齢期の住まいを考えるときは、介護だけを見るのではなく、暮らし・移動・家の管理をまとめて見ることが大切です。

3.施設・住み替えは本人の暮らし方から考える

自宅での生活が難しくなってきた場合にも、選択肢は一つではありません。今より小さく管理しやすい住宅へ移る。子どもの近くへ住む。高齢者向け住宅を選ぶ。介護サービスを受けられる施設へ移る。本人の状態や家族の状況によって、合う方法は変わります。

ここで大切なのは、最初に「どの施設がいいか」を考えることではありません。本人が、これからどんな暮らしをしたいのかを確認することです。

できるだけ今の地域で暮らしたい。一人になったら安心できる場所へ移りたい。家族の近くへ行きたい。介護が必要になっても同じ場所で暮らしたい。希望は人によって違います。

住まいの相談では、家族が安全を考えて施設を勧めても、本人は今の家を離れたくないということがあります。逆に、本人の方が、「この家を一人で管理するのはもう大変」と感じていることもあります。施設や住み替えを考える前に、本人の希望と家族ができる支援を整理しておくことが、住まい選びの土台になります。

4.施設を選ぶ段階で確認したい契約と運営状況

有料老人ホームを実際の候補として検討する段階になったら、ここで初めて施設ごとの確認に進みます。厚生労働省が2026年9月25日に公表した調査では、2025年6月30日時点で、届出済みの有料老人ホームは1万7,883施設でした。

一方、未届とされている施設は568施設、全体の3.1%です。ただし、未届568施設すべてが悪質な施設という意味ではありません。行政が調査中で、法律上の有料老人ホームに該当するか確認している施設なども含まれています。そのため、未届施設があるというニュースだけで不安になる必要はありません。

候補施設が決まった段階で、有料老人ホームとして届出されているか。誰が運営しているか。

月額料金以外にどんな費用がかかるか。介護度が上がった場合の費用はどうなるか。認知症や医療が必要になっても暮らせるか。どのような場合に退去が必要になるか。といった内容を確認します。

もう一つ確認したいのが「重要事項説明書」です。難しい名前ですが、簡単にいえば、施設の運営会社、職員体制、サービス、料金、契約条件などをまとめた説明書です。パンフレットや見学時の印象だけで決めず、契約前に内容を家族で確認することが大切です。施設によっては入居時にまとまった前払金が必要になる場合もあります。

その場合は、途中で退去した場合の返還条件や、返還されるべきお金を守る仕組みについても確認しておきたいところです。届出の有無は施設選びの入口ではなく、候補が決まった後に確認する大切な項目の一つです。

まとめ

親の年齢が上がってくると、「そろそろ施設を考えた方がいいのだろうか」と不安になることがあります。しかし、最初にすることは施設探しではありません。

まず、今の暮らしで何が難しくなってきたのか。どんな支援があれば今の家で暮らせるのか。本人はこれからどんな暮らしを望んでいるのか。を整理することです。

そのうえで、自宅で暮らし続ける、住み替える、高齢者向け住宅や施設を選ぶといった選択肢を比較していきます。そして施設を選ぶ段階になったら、届出、運営会社、費用、介護・医療体制、契約内容を確認する。この順番です。

もう一つ忘れたくないのが、それまで暮らしていた自宅です。施設へ移っても、家の草木や換気、修繕、固定資産税などの管理は残ります。誰が管理するのか。そのまま残すのか。

売る、貸すなどを考えるのか。親の施設選びと自宅のこれからは、別々ではなく、一つの「これからの住まい」の問題として考える必要があります。

施設を探すことから始めるのではなく、「これから、どんな暮らしをしたいか」を整理することから始める。それが、親の住まいを考える最初の一歩です。

つづく