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親の家が空き家になり、「ときどき換気に行けば大丈夫だろう」「家の中を確認しておけばいいだろう」と思っていませんか。

実は、空き家管理で最も多く行われているのは、家の中の掃除や換気ではありません。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、管理者がいる空き家で最も多かったのが、「外回りの清掃、草取り、剪定など」79.5%でした。戸締まりの確認74.9%、住宅の通風・換気66.9%よりも高い数字です。さらに、管理者がいる空き家の約7割は、月1回以上管理されています。空き家を持つと、建物を見るだけでなく、繰り返し伸びる草や庭木まで管理し続ける必要があるということです。

空き家の草刈りや剪定を実際に誰が担っているのか、放置すると何が起こるのか、家族の負担が大きくなる前に何を考えておけばよいのかを分かりやすく整理します。

目次

1.なぜ空き家管理では「草取り・剪定」が多い?
2.空き家管理の約9割は所有者や家族が担っている
3.草木を放置すると近所にも影響する
4.草取りが大変になる前に決めておきたいこと

1.なぜ空き家管理では「草取り・剪定」が多い?

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査」では、全国の空き家所有者について、管理状況や利用意向などを調べています。

管理者がいる空き家で実際に行われていた管理は、

・外回りの清掃、草取り、剪定など 79.5%
・戸締まりの確認 74.9%
・住宅の通風・換気 66.9%
・郵便物・チラシなどの整理・処分 57.0%
・住宅内の清掃 55.4%

となっています。複数回答ですが、「外回りの清掃、草取り、剪定など」が最も多くなっています。

なぜ外回りの管理が必要なのでしょうか。理由の一つは、誰も住んでいなくても草木は成長し続けるからです。室内なら、人が使わなければ物が増えることはありません。しかし庭は違います。春から夏にかけて雑草は伸び、庭木の枝も広がります。秋になれば落ち葉もたまります。一度きれいにすれば終わりではありません。実際、同じ調査では、管理者がいる空き家のうち「月に1~数回」管理する世帯が34.0%。ほぼ毎日17.7%、週に1~数回19.1%を合わせると、約7割が月1回以上管理しています。

空き家管理とは、たまに家を見に行くことだけではありません。庭や家の周りを定期的に手入れすることまで含まれるのです。

2.空き家管理の約9割は所有者や家族が担っている

こうした草刈りや剪定を誰が行っているのでしょうか。国土交通省の調査では、空き家の主な管理者は、「所有者または所有者と同居している親族」が76.8%、「所有者と同居していない親族」が13.5%でした。合わせると、所有者または親族が管理している空き家は約9割です。

ここは、これから親の家を引き継ぐ世代にとって重要な数字です。

親が元気なうちは、「庭の草を取る」「伸びた枝を切る」「落ち葉を掃除する」といった作業を、本人が日常の中で行っていることがあります。ところが年齢を重ねると、しゃがんで草を抜くことや、重い草刈り機を使うこと、高い場所の枝を切ることが難しくなってきます。

親から、「今年は草取りがしんどい」「庭木を切れなくなった」という言葉が出始めたら、単なる庭仕事の話ではないかもしれません。

これから誰がこの家を管理するのかを考え始めるサインとして見ることもできます。そして親が施設へ入ったり、亡くなったりして家が空けば、それまで親がしていた管理が、離れて暮らす子どもへ移ることがあります。

空き家になってから突然仕事が増えるのではなく、実はその前から少しずつ管理の負担は始まっています。

3.草木を放置すると近所にも影響する

草や庭木の問題が難しいのは、自分の家だけで終わらないことです。

国土交通省は、適切に管理されていない空き家で起こり得る問題として、庭木のはみ出し、害虫やネズミ、悪臭、不法侵入などを挙げています。枝が道路や隣の敷地へ伸びれば、歩行者の通行を妨げたり、周囲の建物に影響したりすることもあります。そして外回りには、家の中とは違う特徴があります。管理されているかどうかが、外から分かりやすいことです。

庭の草が伸び続けている。の枝が道路まではみ出している。落ち葉が長期間たまっている。こうした状態になると、近所から見ても「しばらく人が来ていないのでは」と感じやすくなります。

空き家管理の現場では、建物そのものより先に、庭や外回りの変化が目立つことがあります。

「建物はまだ傷んでいないから大丈夫」と考えていても、外回りではすでに管理の問題が始まっている可能性があります。だからこそ、空き家を考えるときには、建物の状態だけでなく、庭や道路との境界、隣家へ伸びる木まで確認することが大切です。

4.草取りが大変になる前に決めておきたいこと

では、庭のある家はどうすればよいのでしょうか。すべての木を切ったり、庭をなくしたりする必要はありません。長年育ててきた木や、家族との思い出がある庭もあります。

「これまで管理できていたから、これからも管理できる」と考えないことです。

例えば、親が元気なうちに大きくなりすぎた木を整理する。草取りが必要な範囲を減らす。

自分でできなくなったら誰に頼むのか考える。業者へ頼む場合の費用を確認しておく。離れて暮らす家族が管理するなら、どのくらいの頻度なら通えるのかを話しておく。

こうした小さな準備があります。

空き家対策というと、「売るか」「貸すか」解体するか」という大きな決断から考えがちです。

その前に一度確認したいことがあります。「今、この家は無理なく管理できているか」

です。売るか残すかを今すぐ決めなくても構いません。まず、管理できなくなったときに誰が担うのか。そこを決めておくだけでも、将来の家族の負担は変わります。

まとめ

国土交通省の調査では、管理者がいる空き家で最も多く行われている管理は、「外回りの清掃、草取り、剪定など」79.5%でした。そして空き家の約9割は、所有者やその親族が管理しています。

この2つの数字を見ると、空き家管理の現実が見えてきます。家が空けば、草刈りも剪定もなくなるわけではありません。しろ、それまで住んでいた人がしていた仕事を、誰かが引き継ぐ必要があります。

「最近、親が草取りをしなくなった」「庭の手入れが大変だと言い始めた」という変化は、これからの住まいを考える一つのきっかけになります。

空き家になってから慌てて管理方法を考えるのではなく、住んでいるうちから、誰が管理するのか。自分たちでできるのか。頼むなら誰に頼むのか。を少しずつ整理しておく。

空き家予防は、売却や解体を決めることだけではありません。「この家をこれからも管理できるか」を考えることから始める。

79.5%という数字は、その必要性をよく表しているのではないでしょうか。

つづく