LOADING

ブログ BLOG

こんにちはキャリーライフ中川です。

木造住宅の補強方法と費用を知る

「耐震改修が必要と言われても、いくらかかるのか分からない」古い自宅や実家について、この金額面が一番大きな壁になることがあります。耐震工事といっても、壁を補強する工事、柱と土台を金物でつなぐ工事、基礎を補修する工事、重い屋根を軽くする工事など、内容は住宅によって異なります。「耐震工事は100万円くらい」と一律に考えることはできません。

耐震診断 → 弱い部分の確認 → 補強方法を決める → 見積もり → 補助制度を確認する

という順番で考えることです。

今回は、木造住宅では実際にどのような耐震工事を行うのか、費用はどの程度になるのかを整理します。

目次

1.耐震工事は家のどこを強くするのか
2.主な耐震工事と補強方法
3.耐震改修にはいくらかかる?
4.見積もりで確認したいこと

地震が起きると、住宅には横方向から大きな力が加わります。

木造住宅の場合、その力を、

  • 屋根
  • 土台
  • 基礎

へ伝えながら、建物全体で受け止めます。

どこか一部分だけを強くすればよいわけではありません。例えば、壁をたくさん補強しても、柱と土台の接合部分が弱ければ、揺れによって柱が抜ける可能性があります。壁の量が十分でも、建物の片側だけに集中していれば、地震のときに建物がねじれることがあります。雨漏りやシロアリによって柱や土台が傷んでいれば、設計時に持っていた強さを発揮できません。

耐震診断では、

  • 壁の量
  • 壁の配置
  • 柱や梁の接合
  • 基礎
  • 屋根の重さ
  • 建物の形
  • 劣化状況

などを総合的に確認します。

耐震工事は、見た目を新しくするリフォームとは目的が違います。地震の力を建物全体で受け止め、倒壊しにくくするための工事です。

▪壁を強くする

木造住宅の耐震改修で代表的なのが、壁の補強です。

既存の壁を一度開け、

  • 筋かいを追加する
  • 構造用合板を取り付ける
  • 耐震用の面材を施工する

などによって、地震の横方向の力へ抵抗できる壁を増やします。単純に壁を増やせばよいわけではありません。建物の左右、前後のバランスを見ながら配置する必要があります。特に昔の住宅では、南側に大きな窓や縁側があり、北側には壁が多いという間取りがあります。

このような住宅では、壁の配置を含めて補強計画を考えます。

▪柱や筋かいを金物で補強する

大きな地震では、柱が土台や梁から抜けようとする力が発生します。

  • 柱と土台
  • 柱と梁
  • 筋かいと柱

などを専用の金物で固定します。

現在の木造住宅では、地震時に接合部分へどの程度の力がかかるかを考えて金物を設置します。古い住宅では、この接合部分が現在の考え方ほど強く設計されていないことがあります。壁を補強する工事と、接合部を補強する工事を組み合わせることも多くあります。

▪基礎を補強する

住宅を支えている一番下の部分が基礎です。

  • 基礎に鉄筋が入っていない
  • 大きなひび割れがある
  • 一部が劣化している

状況によっては、既存の基礎の横へ新しい鉄筋コンクリートを追加したり、ひび割れを補修したりします。基礎の状態や地盤によって方法が変わるため、外から見ただけでは判断できません。

▪屋根を軽くする

地震では、建物の上部が重いほど大きな力がかかります。重い瓦屋根を軽量な屋根材へ変更し、建物全体の負担を減らす方法があります。特に古い木造住宅では、壁の補強と合わせて検討されることがあります。

「瓦屋根だから危険」「軽い屋根に替えれば安全」と単純に判断するものではありません。

建物全体の構造を確認したうえで決める必要があります。

▪劣化している柱や土台を直す

耐震診断や工事中に、

  • 雨漏りによる腐食
  • シロアリ被害
  • 土台や柱の傷み

が見つかることがあります。傷んだ部分をそのままにして、その周りだけを補強しても、本来の耐震性能を得られません。耐震改修では、構造補強に加えて劣化部分の修繕が必要になる場合があります。

これが、住宅によって耐震工事の費用が大きく違う理由の一つです。

最も気になるのが費用です。国土交通省が紹介している耐震改修のモデルケースでは、

築約50年・木造2階建て・延べ床面積約100平方メートルの住宅で、約224万円

という事例が示されています。これは一つのモデルケースです。

実際には、

  • 建物の広さ
  • 築年数
  • 壁がどれだけ不足しているか
  • 基礎の状態
  • 屋根の重さ
  • シロアリや腐食
  • 補強する場所
  • 内装の復旧範囲

などによって金額は大きく変わります。50万円程度の工事と200万円を超える工事は同じではない

「耐震工事50万円」「耐震改修200万円」という二つの見積もりがあったとしても、金額だけで比較することはできません。

▪例えば50万円の工事が、寝室周辺の一部補強なのか。

数か所の壁を強くする工事なのか。住宅全体の耐震性能を一定水準まで高める計画なのか。

ここを確認する必要があります。

▪200万円を超える見積もりでも、

  • 基礎補強
  • 壁補強
  • 金物補強
  • 屋根軽量化
  • 劣化部分の修理

まで含まれていれば、単純に「高い工事」とは判断できません。

大切なのは、いくら使うかではなく、その金額で住宅のどこが、どの程度安全になるのか

を確認することです。

耐震工事以外の費用も出ることがある

壁を補強するためには、既存の壁を一度壊すことがあります。

  • クロス
  • 石こうボード
  • 天井
  • 電気配線

などの復旧費用が必要になります。さらに工事中に腐食やシロアリ被害が見つかれば、追加の修繕が必要になることもあります。

見積もりを見るときは、「耐震補強工事費」だけでなく、「解体・復旧・修繕を含めた総額」で確認することが重要です。

耐震工事は、価格だけでは判断しにくい工事です。見積もりを取るときは、次の点を確認します。

▪耐震診断をもとに計画されているか

最初から、「壁をここに3枚追加すれば大丈夫です」と工事内容だけを提案されても、その根拠が分かりません。現在の住宅がどの程度の耐震性なのか。

どこが弱いのか。補強後にどこまで改善するのか。診断結果をもとに説明してもらいます。

▪補強後の目標が示されているか

木造住宅の耐震診断では、「上部構造評点」という数値が使われることがあります。

一般的には、

上部構造評点判定
1.5以上倒壊しない
1.0以上1.5未満一応倒壊しない
0.7以上1.0未満倒壊する可能性がある
0.7未満倒壊する可能性が高い

と評価します。例えば、現在0.5の住宅を、工事によって1.0以上へ改善するというように、工事前と工事後を比較すると分かりやすくなります。この数値だけで地震時の絶対的な安全を保証するものではありません。

▪耐震工事と一般リフォームを分ける

耐震工事をきっかけに、「キッチンも新しくしましょう」「お風呂も一緒に交換しましょう」

となることがあります。同時に工事することで効率が良くなる場合もあります。耐震にいくら必要なのか分からなくなると、判断が難しくなります。

見積書では、

  • 耐震補強
  • 劣化修繕
  • 内装復旧
  • 設備交換
  • 一般リフォーム

を分けてもらうと比較しやすくなります。

▪補助制度を契約前に確認する

耐震診断や耐震改修には、市町村によって補助制度があります。

対象になる住宅は、

  • 建築時期
  • 木造かどうか
  • 所有者の条件
  • 現在の耐震性能
  • 補強後の耐震性能

などが細かく定められています。注意したいのは、契約や着工後では補助を受けられない制度が多いことです。工事会社と契約する前に、住宅がある自治体へ確認します。

耐震工事には、決まった金額がありません。

壁を補強する。

柱や筋かいを金物でつなぐ。

基礎を補強する。

屋根を軽くする。

劣化した柱や土台を直す。

住宅によって必要な工事が違うため、費用にも大きな差が生まれます。国土交通省のモデルケースでは約224万円という例がありますが、その金額をすべての住宅に当てはめることはできません。

そしてもう一つ考えたいのが、その家にこれから何年住むのかです。10年、20年と住み続ける家なのか。高齢の親が数年間安全に暮らすための家なのか。

子どもが将来引き継ぐ家なのか。耐震改修の金額だけを見るのではなく、その家のこれからと合わせて、どこまで費用をかけるかを判断することが重要です。

つづく