こんにちはキャリーライフ中川です。
通帳の残高だけでは分からない財産と負担の話
預貯金はいくらあるのか。
兄弟姉妹でどう分けるのか。
相続税はかかるのか。
大切な確認です。
相続で見落としやすいのは、通帳に出てこないものです。
実家の名義。
使っていない土地。
生命保険の受取人。
借入金や未払い金。
相続登記や相続放棄の期限。
相続は、財産を受け取るだけの話ではありません。
亡くなった人の権利と義務を、残された家族が引き継ぐことです。
相続税の対象になる人は、令和6年分で死亡者全体の10.4%です。
約10人に1人です。
一方で、相続税がかからない家庭でも、
名義変更、預金手続き、保険請求、実家管理は
必要になることがあります。

【目次】
1- 通帳の残高だけでは財産は見えない
2- 実家や土地は資産でもあり負担でもある
3- 借入金や未払い金も相続に関係する
4- 生命保険は受取人と契約内容で変わる
5- 相続には期限がある
1- 通帳の残高だけでは財産は見えない
相続財産と聞くと、預貯金を思い浮かべます。
通帳を見れば分かる。
銀行口座を調べれば分かる。
残高を兄弟姉妹で分ければよい。
分かりやすい財産です。
相続財産は、それだけではありません。
土地。
建物。
株式。
投資信託。
車。
貴金属。
家財。
貸付金。
生命保険。
事業に関係する財産。
通帳には出てこない財産があります。
事例イメージです。
父が亡くなり、子どもたちは通帳だけを確認していました。
預貯金は多くありません。
「相続税は関係ないだろう」と思っていたところ、
固定資産税通知書を見て、別の土地があることに気づきました。
昔、祖父母から引き継いだ土地でした。
場所も分からない。
名義も古い。
売れるかどうかも分からない。
通帳には出てこない財産です。
相続で最初に見るべきものは、金額だけではありません。
どこに何があるのか。
誰の名義なのか。
家族が把握できているか。
ここが盲点になります。
2- 実家や土地は資産でもあり負担でもある
実家や土地は、相続で見落としやすい財産です。
資産に見える一方で、管理の負担もあります。
固定資産税。
火災保険。
草刈り。
近隣対応。
片付け。
修繕。
売却や解体の判断。
実家を相続する人は、家だけを受け取るわけではありません。
管理も引き受けます。
全国の空き家数は、令和5年住宅・土地統計調査で900万戸です。
空き家率は13.8%で、いずれも過去最高です。
賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家も385万戸あります。
事例イメージです。
母が亡くなり、長男が実家を相続しました。
家そのものに住宅ローンはありません。
「家をもらった」と思っていました。
実際には、毎年の固定資産税がかかります。
庭木が伸びます。
近所から草刈りの連絡が来ます。
雨漏りの修繕も必要になります。
中には荷物が残っています。
売るにも片付けが必要です。
貸すにも修繕が必要です。
解体するにも費用が必要です。
実家は、資産でもあります。
同時に、管理責任もあります。
ここを見落とすと、相続後に負担が重くなります。
3- 借入金や未払い金も相続に関係する
相続で受け継ぐのは、プラスの財産だけではありません。
借入金。
住宅ローン。
カードローン。
事業の借入。
未払いの税金。
未払いの医療費。
未払いの介護費。
保証債務。
負債も確認が必要です。
相続税の計算でも、被相続人の確実な債務や一定の葬式費用は
遺産総額から差し引けるものとして扱われます。
プラスの財産だけでなく、負債も含めて全体を見る必要があります。
事例イメージです。
父が亡くなった後、子どもたちは預金と実家を確認しました。
預金は少しありました。
実家もありました。
しばらくして、郵便物の中からカードローンの通知が見つかりました。
さらに、知人の借入の保証人になっていた可能性も出てきました。
家族は、父が借入をしていたことを知りませんでした。
相続では、もらえる財産だけを見ると危険です。
借金が多い場合、相続放棄を考える場面があります。
裁判所の司法統計年報では、
令和6年の「相続の放棄の申述の受理」は308,753件です。
相続放棄は、珍しい手続きではなくなっています。
相続放棄には期限があります。
原則として、
自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内です。
借金があるかもしれない。
保証人になっていたかもしれない。
この不安がある場合は、早めの確認が必要です。
4- 生命保険は受取人と契約内容で変わる
生命保険も、相続で見落としやすい点です。
保険に入っているか。
保険金はいくらか。
それだけでは足りません。
誰が受取人なのか。
契約者は誰か。
被保険者は誰か。
保険料を誰が払っていたか。
保険証券はどこにあるか。
ここを確認します。
死亡保険金は、被相続人が保険料を負担していた場合、
相続税の課税対象になることがあります。
受取人が相続人の場合は「500万円×法定相続人の数」
まで非課税限度額があります。
相続人以外が受け取る死亡保険金には、
この非課税の適用はありません。
事例イメージです。
母が亡くなり、生命保険金があることが分かりました。
子どもたちは、相続人全員で分けるものだと思っていました。
確認すると、受取人は長女一人でした。
保険金は、契約上の受取人に支払われます。
預貯金のように遺産分割協議で分けるものとは、扱いが違う場合があります。
別のケースでは、受取人が昔のままになっていました。
亡くなった配偶者のまま。
離婚前の家族構成のまま。
子どもの一人だけが受取人。
保険証券の場所を誰も知らない。
生命保険は、家族に現金を届ける手段です。
葬儀費用。
当面の生活費。
相続税の納税資金。
実家を引き継ぐ人とのバランス。
役割は大きいです。
保険は、入っていれば安心ではありません。
誰に届く契約なのか。
今の家族構成に合っているか。
ここが盲点になります。
5- 相続には期限がある
相続は、気持ちが落ち着いてからゆっくり考えたいものです。
実際には、期限のある手続きがあります。
相続放棄。
準確定申告。
相続税の申告。
相続登記。
すべての家庭に必要とは限りません。
必要な場合、期限を過ぎると困ることがあります。
特に注意したいのが、相続放棄と相続登記です。
相続放棄は、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に判断します。
不動産の相続登記は、令和6年4月1日から義務化されています。
不動産を相続で取得したことを知った日から
3年以内に相続登記をする必要があり、
正当な理由なく申請しない場合は
10万円以下の過料が科される可能性があります。
事例イメージです。
父が亡くなり、実家は母が住み続けることになりました。
子どもたちは「落ち着いてから名義変更を考えよう」と思っていました。
数年後、母も亡くなりました。
実家の名義は父のままです。
相続人が増えます。
必要な戸籍も増えます。
兄弟姉妹の話し合いも難しくなります。
売却したくても手続きがすぐ進みません。
名義をそのままにしたことで、次の相続で手間が増えるケースです。
相続で大切なのは、何を受け取るかだけではありません。
いつまでに何を確認するか。
ここも大きな盲点です。
相続は、財産の金額だけでは判断できません。
まずは、何があるのかを見えるようにすること。
家族があとで困る盲点は、早めに気づくだけで減らせます。
つづく