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これから家を買おうと考えている人にとって、「新築住宅が減っている」というニュースは気になるところです。

国土交通省が2026年10月30日に公表した住宅着工統計によると、9月の新設住宅着工戸数は6万1,826戸。前年同月より2.7%減り、6か月ぶりの減少となりました。持家は3.4%減、貸家は1.6%減、分譲住宅は4.5%減と、主な住宅すべてが前年を下回っています。

この数字だけを見て「新築住宅が売れなくなった」と考えるのは早いでしょう。

一方で、日本の住宅市場をもう少し長い目で見ると、家を建てる環境そのものが変わってきています。土地や建築にかかる費用は上がり、将来は人口だけでなく世帯数も減少していく見込みです。これから家を持つ人に必要なのは、「新築を建てるかどうか」だけではなく、自分たちに本当に必要な家をどう持つかを考えることです。

目次

1.9月の新築住宅は6か月ぶりに減少
2.家を建てるハードルは以前より高くなっている
3.これからは「たくさん建てる時代」ではなくなる
4.住宅選びは新築だけで考えない

1.9月の新築住宅は6か月ぶりに減少

2026年9月の新設住宅着工戸数は6万1,826戸でした。前年同月比では2.7%減少しています。内訳を見ると、自分で住むための「持家」が1万7,648戸、賃貸住宅などの「貸家」が2万8,046戸、建売住宅や分譲マンションなどの「分譲住宅」が1万5,688戸でした。

いずれも前年同月を下回っています。これだけで住宅市場の方向が決まったわけではありません。

「6か月ぶりの減少」ということは、それまで5か月は前年を上回っていました。住宅着工は月ごとの変動もあるため、9月の数字だけから今後の住宅市場を判断することはできません。今回の数字で考えたいのは、「2.7%減ったこと」そのものより、これから住宅を建てる人を取り巻く環境がどう変わっているのかです。

2.家を建てるハードルは以前より高くなっている

住宅を建てるには、建物だけではなく土地も必要です。2026年の地価公示では、全国平均の住宅地は5年連続で上昇しました。東京、大阪などの都市圏だけではなく、地方圏でも住宅地の上昇傾向は続いています。建築費についても、国土交通省の「建設工事費デフレーター」が示すように、資材費や労務費などを含む建設コストは継続的に確認すべき状況になっています。以前と同じ予算で、以前と同じ土地、同じ広さ、同じ仕様の家を建てることが難しくなっています。

住宅価格が上がれば、家を買う側も選択を迫られます。土地を小さくするのか。家をコンパクトにするのか。設備や仕様を見直すのか。それとも中古住宅を購入してリフォームするのか。新築住宅の着工戸数を見るときには、「何戸減ったか」だけでなく、家を建てるために必要なお金が以前とは変わっていることも一緒に考える必要があります。

3.これからは「たくさん建てる時代」ではなくなる

もう一つ大きな変化があります。人口と世帯数です。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の一般世帯数は2030年の約5,773万世帯をピークに減少へ転じ、2050年には約5,261万世帯になると見込まれています。平均世帯人員も、2020年の2.21人から減少を続け、2033年には初めて2人を下回る見込みです。

つまり、日本はこれから「住宅を必要とする世帯がずっと増え続ける社会」ではありません。

さらに、一つの世帯で暮らす人数も少なくなっていきます。

そう考えると、住宅の考え方も変わります。家族4人、5人で暮らすことを前提に大きな家を建てるだけではなく、夫婦二人になった後まで使いやすい大きさにする。子どもが独立した後に使わない部屋を増やしすぎない。将来の修繕や管理まで考えて建物を選ぶ。

これからは、「どれだけ大きな家を持つか」より、「必要な家をどれだけ無理なく維持できるか」が重要になっていきます。

4.住宅選びは新築だけで考えない

これから住宅を購入する人にとって、新築はもちろん一つの選択肢です。

新しい耐震基準や断熱性能を取り入れ、自分たちに合った間取りを一からつくれることには大きなメリットがあります。「家を持つ=新築」と最初から決める必要はありません。

予算によっては、中古住宅を購入して必要な部分をリフォームする方が、自分たちに合うこともあります。現在の家を建て替えず、断熱や水回り、間取りだけを改善して住み続ける方法もあります。また、新築する場合でも、将来使わなくなる部屋まで増やすのではなく、必要な広さを見直すことができます。

大切なのは、新築、中古、リフォームのどれが一番優れているかを決めることではありません。土地代、建築費、住宅ローンだけでなく、その後の固定資産税、修繕、設備交換、庭や建物の管理まで含め、長く無理なく持ち続けられる住宅なのかを見ることです。

住宅着工が減っていく社会では、「新築が減ったから買い時」「今は待った方がいい」という単純な判断より、自分たちの暮らしに必要な住宅を見極めることの方が重要になります。

まとめ

2026年9月の新設住宅着工戸数は6万1,826戸となり、前年同月より2.7%減少しました。

持家、貸家、分譲住宅のすべてが前年を下回っています。今回の減少だけで住宅市場の先行きを決めることはできません。

注目したいのは、その背景にある住宅を取り巻く大きな変化です。住宅地の価格は全国平均で上昇が続き、建築コストも住宅計画に大きく影響します。一方、日本の世帯数は2030年ごろをピークに減少へ向かうと予測されています。これからは、住宅をたくさん建て続けることを前提とした時代ではなくなっていきます。

家を買う側も、「新築だから」「広いから」という理由だけではなく、自分たちに必要な広さ、予算、将来の家族構成、維持管理まで考えて選ぶ必要があります。

新築か中古か、建て替えかリフォームか。選択肢を最初から一つに絞らず、これからの暮らしに一番合う住宅を選ぶ。新設住宅着工が減るという数字は、住宅市場の変化だけではなく、私たちの「家の持ち方」が変わり始めていることを考える材料にもなります。

つづく