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一人で暮らしているとき、突然入院することになったら。病院から、「緊急連絡先を書いてください」「身元保証人はいらっしゃいますか」と聞かれることがあります。

子どもや兄弟が近くにいれば頼めるかもしれません。しかし、家族が遠方にいる、頼れる親族がいない、家族はいても高齢で支援を頼めないという人もいます。一人暮らしで保証人を頼める人がいなければ、入院や施設入所はできないのでしょうか。

結論からいうと、身元保証人がいないことだけを理由に、必要な入院を断ることは適切ではないと厚生労働省は示しています。介護保険施設についても、保証人がいないことだけを理由に入所を拒むことは正当な理由には当たらないとされています。ただし、保証人がいなくても「何も準備しなくてよい」ということではありません。

大切なのは、保証人を一人探すことより、困ったときに必要になる役割を誰が担うのかを整理しておくことです。

目次

1.入院するとき、なぜ保証人を聞かれる?
2.保証人がいなくても入院できる?
3.一人暮らしなら誰に何を頼めばいい?
4.元気なときに整理しておきたいこと

1.入院するとき、なぜ保証人を聞かれる?

病院や介護施設が求める「保証人」には、いくつかの役割が含まれています。

厚生労働省の資料では、身元保証人などに求められるものとして、緊急時の連絡、入院費や施設利用料への対応、退院・退所時の支援、入院中に必要な物品の準備、亡くなった後の遺体や遺品の引き取りなどが挙げられています。単に「この人が本人を保証します」というだけではありません。

例えば急に入院した場合、着替えや日用品を誰が持ってくるのか。退院後に自宅へ戻れるのか。施設へ移る必要があるのか。本人と連絡が取れなくなったとき、病院は誰に連絡すればよいのか。こうした現実的な問題があるため、病院や施設は家族などの連絡先を確認しています。一人暮らしの場合に考えたいのは、保証人がいるかどうかより、この役割を誰が担えるのかということです。

2.保証人がいなくても入院できる?

「保証人がいないと入院できない」と不安になる人もいます。

厚生労働省は、身元保証人等がいないことだけを理由に入院を拒否することについて、医師法上の応招義務に抵触するおそれがあるとして、医療機関へ周知しています。2025年の厚生労働省資料でも、現在もこうした入院拒否が確認されているとして、改めて適切な対応を求めています。

介護保険施設についても、法令上、入所するために身元保証人を必ず付けなければならないという規定はありません。保証人がいないことだけを理由として入所を拒むことは、正当な理由には当たらないとされています。

保証人が不要という意味ではなく、病院や施設側が必要としている緊急連絡や支払い、退院後の生活などについて、別の方法で対応できる状態をつくる必要があります。「保証人がいないから入れない」と考えるのではなく、何が足りないのかを一つずつ整理することが重要です。

3.一人暮らしなら誰に何を頼めばいい?

すべてを一人の家族に任せる必要はありません。例えば緊急連絡先は親族や知人、日常生活の相談は地域包括支援センター、財産管理については必要に応じて成年後見制度など、役割によって相談先を分ける方法があります。民間の身元保証や高齢者等終身サポートサービスを利用する方法もあります。こうしたサービスでは、契約内容に応じて入退院や施設入所の支援、緊急連絡への対応、日常生活の支援、亡くなった後の手続きなどを行うものがあります。一方で、何でも代わりに判断してもらえるわけではありません。

特に医療については、身元保証人だからといって本人に代わり自由に手術などへ同意できるわけではなく、本人の意思を確認することが基本です。厚生労働省も、身寄りがない人や意思決定が難しい人への医療について、本人の意思を尊重しながら支援するためのガイドラインを設けています。そのため、「家族の代わりを一人探す」という考え方よりも、

緊急時は誰に連絡するのか。お金の管理はどうするのか。入院中の生活支援はどうするのか。

自宅へ戻れなくなった場合は誰に相談するのか。と役割を分けて考える方が現実的です。

4.元気なときに整理しておきたいこと

一人暮らしで最も困るのは、入院そのものより、突然の出来事に対して何も決まっていない状態かもしれません。本人が話せる状態なら、希望を伝えることができます。急病や事故などで意思を伝えることが難しくなれば、周囲は本人が何を希望していたのか分からなくなります。そこで、日頃から最低限の情報を整理しておくことが役立ちます。

緊急時に連絡してほしい人、かかりつけ医、服用している薬、健康保険証などの保管場所、利用している介護や生活支援サービス、住まいや財産について相談できる人などです。家族が遠方にいる場合も、「何かあったら全部お願いします」ではなく、どこまで頼めるのかを話しておくと負担の偏りを防ぎやすくなります。

頼れる家族がいない場合には、地域包括支援センターなどへ相談し、自分の地域にどのような支援があるのかを知っておく方法もあります。

将来のすべてを今決めることではありません。困ったときに最初に誰へ連絡するかだけでも分かる状態をつくっておくことです。

まとめ

一人暮らしで入院や介護施設への入所が必要になったとき、「保証人がいない」という問題に直面することがあります。保証人がいないことだけを理由として、必要な入院や介護保険施設への入所を拒むことが当然に認められているわけではありません。

一方で、緊急時の連絡、支払い、退院後の生活、日用品の準備、亡くなった後の対応など、誰かが担わなければならないことはあります。必要なのは、必ずしも「保証人になってくれる一人」を見つけることではありません。家族、知人、地域の支援機関、専門職、民間サービスなどを組み合わせながら、必要な役割を分けることもできます。

一人暮らしだから、一人ですべてを準備する必要はありません。「何かあったとき、誰に何を頼めるのか」が分かっていること。それが、一人で暮らし続けるための安心につながります。

つづく