こんにちはキャリーライフ中川です。
4LDKの家を建てたときは、家族4人にちょうどよかった。 夫婦の寝室があり、子ども部屋が2つあり、和室や客間もある。家族が多い時期には、それぞれの部屋に役割があります。ところが、住宅は何十年も使うものです。
子どもが進学や就職で家を離れれば、4人暮らしが2人暮らしになることもあります。その先、一人で暮らす期間が来る可能性もあります。家族の人数は変わっても、4LDKは4LDKのままです。家そのものが大きくならなくても、住む人が減ることで「家が広くなる」ことがあります。
これから一人暮らしや夫婦だけの世帯が増えていく日本では、住宅の「広さ」と「住む人数」の関係を考えることが、今まで以上に重要になりそうです。
目次
1.家族は小さくなっても、住宅は小さくならない
2.使わなくなった部屋はどうなっていく?
3.広い家には、広い家の良さと維持する仕事がある
4.家族が変わったときは、住まいも見直すタイミング
1.家族は小さくなっても、住宅は小さくならない
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年の単独世帯は一般世帯の40.1%、夫婦のみの世帯は19.8%とされています。2050年には単独世帯が44.3%まで増える見通しです。これから日本では、一つの家に暮らす人数が少なくなっていきます。新しく建てる住宅であれば家族人数に合わせて面積を選べても、すでに建っている家はそうはいきません。
30年前に家族4人で暮らすために建てた家も、子どもが2人とも独立すれば夫婦2人で使うことになります。
例えば120㎡の住宅なら、4人で暮らしているときは単純計算で一人30㎡。2人になれば一人60㎡です。実際、2023年の住宅・土地統計調査でも、1住宅当たりの規模が大きくなり続けているわけではない一方で、一人当たりの居住室の広さは1993年の10.35畳から2023年には14.65畳へ増えています。
住宅が急に広くなったのではありません。
一つの住宅で暮らす人数が減ることで、一人が使う空間が広くなっている。
これも日本の住宅で起きている変化の一つです。
2.使わなくなった部屋はどうなっていく?
子どもが独立したあと、その部屋をどうするでしょうか。すぐに家具や荷物をすべて片付ける家庭もあるでしょう。しかし、机やベッド、本、学校時代の物などをそのまま残している家も少なくないと思います。「帰ってきたときに使うかもしれない」という気持ちもあります。そのうち季節用品や使わなくなった家電などを、「とりあえずここへ」と置くようになる。気づけば、子ども部屋だった場所が収納部屋になっていることもあります。
住宅の仕事に関わっていると、家に物が増える背景には、単に片付けが苦手だからという理由だけではなく、置いておける空間があることも大きいと感じます。広い家には収納できる安心感があります。その一方で、今すぐ「残すか、手放すか」を決めなくても生活できるため、判断を先送りしやすくもなります。10年、20年と積み重なれば、かつては家族全員で使っていた住宅の中に、日常ではほとんど使わない場所が増えていきます。
今、親の家へ行って「どうしてこんなに物が多いのだろう」と思う人もいるかもしれません。
けれど、それはある日突然そうなったのではなく、家族が減ったあとに残った空間へ、長い時間をかけて物が積み重なった結果とも考えられます。
3.広い家には、広い家の良さと維持する仕事がある
もちろん、大きな家が悪いわけではありません。子どもや孫が帰ってきたときに泊まれる。趣味の部屋を持てる。庭があり、収納も十分にある。長く暮らした地域や近所との関係も含めれば、広さを数字だけで判断することはできません。
一方で、使う人数が減っても、家を維持する範囲は基本的に変わりません。使っていない2階にも窓があり、外壁があり、屋根があります。庭があれば草木も伸びます。掃除や修繕も必要です。
特に年齢を重ねると、「広さ」より「管理できるか」という視点が大きくなってきます。
2023年の住宅・土地統計調査では、高齢者のいる世帯の81.6%が持ち家に住んでいます。高齢者夫婦のみの世帯では持ち家率が87.6%、高齢単身世帯でも67.5%です。
これから単独世帯がさらに増えることを考えれば、大きな持ち家に一人または二人で暮らすケースも、住まいの一つの重要なテーマになっていくでしょう。
4.家族が変わったときは、住まいも見直すタイミング
では、子どもが独立したら小さな家へ住み替えるべきなのでしょうか。そう単純ではありません。今の家が暮らしやすく、管理にも困っていなければ、そのまま暮らすことも立派な選択です。
一方で、子ども部屋を仕事や趣味の部屋へ変えたり、日常生活を1階で完結できるようにしたり、物を少しずつ整理したりする方法もあります。将来的には、リフォームをして暮らす範囲を整える方法もあれば、便利な地域のコンパクトな住宅へ住み替えるという選択もあります。
2026年3月に閣議決定された国の新しい住生活基本計画でも、高齢期に向けて、ライフスタイルに合った住まいへの住み替えやリフォームを早い段階から検討できる環境づくりが掲げられています。
家族構成が変わったときに、「今の家の使い方も変わっていないか」と一度見てみることです。30代で家を建てたときと、子どもが独立した50代、夫婦2人になった60代では、住まいに求めるものが違って当然です。
まとめ
家を建てるときは、家族が増えることを考えます。子ども部屋をつくり、収納を増やし、家族が集まれるリビングを考える。家族4人なら、それに合った広さの住宅を選びます。
しかし、住宅にはその先があります。子どもが独立して夫婦2人になっても、家の床面積は変わりません。さらに一人暮らしになれば、一人が使う住宅はもっと広くなります。
これからは、「何㎡の家に住んでいるか」だけではなく、「その家を何人で、どのくらい使っているか」という見方も必要になってくると思います。
広い家を手放す必要はありません。ただ、使わなくなった部屋が増えたとき、2階へ上がることが少なくなったとき、庭の管理が少し負担になったとき。それは「家じまい」を考える時期ではなく、まず今の暮らしと住宅が合っているかを見るタイミングです。親の家だけに起こる話でもありません。今、家族で暮らしている自分たちの住宅も、20年後には住む人数が変わっているかもしれません。
家族が変われば、ちょうどよい家の大きさも変わる。
家を買ったときだけでなく、家族の節目ごとに住まいを見直す。これから長く住宅と付き合っていくうえで、そんな考え方も大切になるのではないでしょうか。
つづく