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実家の片付けを始める前に、ぜひ一度だけしておいてほしいことがあります。

それは、家財を動かす前の家を、写真や動画で残しておくことです。実家の整理では、家具、食器、衣類、書類など「何を残して、何を処分するか」に意識が向きます。

ところが片付けが終わってから、

「台所も撮っておけばよかった」

「父がいつも座っていた場所を残しておけばよかった」

と思うことがあります。

家財を運び出したあとでは、それまでの「いつもの実家」には戻せません。

この記事では、実家を片付ける前に残しておきたい場所と、スマートフォンでもできる記録の方法を紹介します。

目次

1.なぜ「片付ける前」に撮っておくのか
2.写真・動画で残したい5つの風景
3.家だけでなく「家族の言葉」も残しておく
4.片付け前の30分でもできる記録方法

1.なぜ「片付ける前」に撮っておくのか

実家の片付けが始まると、作業は思っている以上に早く進みます。

必要な書類を探す。

家族で残す物を分ける。

処分業者へ連絡する。

売却や解体の日程を決める。

期限があれば、なおさら「まず片付けなければ」という気持ちになります。

住まいの相談を受けていると、家をどうするかという判断に意識が集中し、その家でどんな暮らしをしてきたのかを残すことは後回しになりやすいと感じます。家財がなくなった部屋は、それまでとは違って見えます。

例えば、同じ居間でも、いつものテーブルがある。父親の椅子がある。テレビの横に家族写真が置かれている。壁にカレンダーが掛かっている。そうした物があって初めて、「自分たちの家だった」と感じられることがあります。きれいに片付けてから撮影するのではなく、生活の跡が残っているうちに一度記録しておく。

これがポイントです。

2.写真・動画で残したい5つの風景

では、何を撮ればよいのでしょうか。家中を何百枚も撮影する必要はありません。

まずは、次の5つを残してみてください。

① 家の外観

正面からだけでなく、いつも帰省したときに見ていた方向から撮ってみます。門、玄関までの道、庭木、車庫なども一緒に写しておくと、後から見たときに当時の雰囲気を思い出しやすくなります。

② 玄関

玄関は、家族が「ただいま」と帰ってきた場所です。靴箱、傘立て、上がり框など、普段は写真に撮ることが少ない場所ですが、なくなってみると記憶に残っている場所でもあります。

③ 家族が集まった居間

家族写真では、人を中心に撮ることが多いものです。そのため、背景だった居間そのものを写真に残していない家庭もあります。いつものテーブル、ソファ、こたつ、テレビの位置まで入れて、部屋全体を撮っておくとよいでしょう。

④ 台所や家族それぞれの定位置

「母はいつもここに立っていた」「父はこの椅子に座っていた」という場所があります。

家だけを撮るのではなく、その人を思い出す場所を残します。使い込んだ食器棚や、冷蔵庫に貼られたメモなども、その家らしさの一部です。

⑤ 庭や窓から見える景色

庭木、物干し場、裏山、近所の景色。家の中だけでなく、そこから何十年も見てきた景色もあります。建物を残せなくても、「この窓からこんな景色を見ていた」という記録は残すことができます。

3.家だけでなく「家族の言葉」も残しておく

写真と一緒に残しておきたいのが、親や家族の言葉です。難しいインタビューをする必要はありません。

家の中を一緒に歩きながら、「この部屋は昔どう使っていた?」「この家を建てたとき、どこにこだわった?」「この柱の傷は何だった?」「家族が一番集まっていたのはどこ?」

と聞いてみます。スマートフォンの動画を回しながら話してもらうだけでも十分です。

物には説明がなくても形が残ります。

一方、家族の記憶は、聞かなければ分からないことがあります。

例えば古い柱の傷も、「子どもの身長を測っていた跡」と聞けば、ただの傷ではなくなります。古いテーブルも、「毎週日曜日は家族全員でここに座っていた」

と聞けば、見え方が変わります。家そのものだけではなく、そこにあった出来事や言葉まで残すことで、「家の記録」から「家族の記録」になります。

4.片付け前の30分でもできる記録方法

大掛かりな撮影をしなくても構いません。スマートフォンが一台あればできます。

例えば、の外から玄関まで撮る。玄関から各部屋をゆっくり動画で歩く。居間、台所、親がよくいた場所を写真に残す。庭や窓からの景色を撮る。親がいれば、家について一つだけ話してもらう。これだけでも、十分な記録になります。

重要なのは、片付けを始める前に行うことです。売却するか、残すか、解体するか。その結論がどうであっても、写真や動画を残すことはできます。もう少し丁寧に家と家族の記憶を残したい場合には、映像として一つの作品にする方法もあります。「実家想い出フィルム」も、そのために生まれたものです。住宅をきれいに紹介する映像ではなく、これまで家族写真では背景だった実家そのものを、今度は主役として残す。

家の外観だけでなく、いつもの部屋、家族が過ごした場所、親の言葉などを記録します。

ただ、専門の撮影を頼むかどうかに関係なく、まずは自分のスマートフォンでも構いません。

「残しておけばよかった」となる前に、一度家を見渡してみることが大切です。

まとめ

実家の片付けでは、「何を捨てるか」「何を持って帰るか」を考える時間が多くなります。

その前に、もう一つだけ考えてみてください。「この家で、何を残しておきたいだろう」外から見た家。いつもの玄関。家族が集まった居間。親が立っていた台所。庭や窓から見ていた景色。特別な場所でなくても構いません。

むしろ、何十年も当たり前に見てきた場所ほど、なくなったあとに写真を探しても見つからないことがあります。実家を手放すことと、実家の記憶まで手放すことは同じではありません。片付けを始める前の30分。スマートフォンを持って、いつもの家を一度歩いてみる。

それだけでも、家族に残せるものは大きく変わるのではないでしょうか。

つづく