LOADING

ブログ BLOG

こんにちはキャリーライフ中川です。

国交省が6事業を選定

人生が100年近く続く時代に、住まいもずっと同じでよいのでしょうか。30代では子育てしやすい家が必要でも、子どもが独立すれば夫婦2人になります。高齢になれば、家の広さよりも買い物や通院のしやすさが大切になることもあります。

国土交通省は2026年9月11日、「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」の第1回選定結果を公表し、全国6事業を選定しました。

今回選ばれた取り組みを見ると、これからの住まいは「新しい家を建てる」だけではなく、今ある住宅を活かす、住み替える、地域で支える、次の人へ住み継ぐという方向へ広がっていることが見えてきます。

目次

1.「人生100年時代の住まい」とは?
2.空いている住宅を「地域の資源」として使う
3.注目したい「住み継ぎ中継拠点」という考え方
4.これからは一つの家に住み続けるだけではない

このモデル事業は、高齢者だけを対象にしたものではありません。高齢者、障害者、子育て世帯など、人生の段階によって変わる住まいのニーズに対応し、誰もが安心して暮らせる住環境をつくる先導的な取り組みを国が支援する制度です。

今回選ばれた6事業も内容はさまざまです。

京都市では、福祉と地域の暮らしを組み合わせた町家型の拠点や、市営住宅の空き住戸を交流・相談・見守りの場所として活用する取り組みが選ばれました。

福岡県岡垣町では、空き家となった古民家を改修して、在宅医療と多世代交流をつなぐ場所をつくります。

鹿児島県奄美市では、空き家や公共施設など既存の建物を活用し、多世代向けシェアハウスや地域交流拠点へつなげる構想が選ばれています。

共通しているのは、住宅という「箱」だけではなく、そこで誰が暮らし、地域とどうつながるかまで考えていることです。

今回の選定で特に目立つのが、既存住宅や空き住戸を活用する考え方です。

京都市の「空き住戸活用型居住支援拠点事業」では、高齢化と空き住戸の増加が進む市営住宅の一部を、交流や食事、相談、見守りなどを行う地域拠点として活用します。高齢者が支援を受けるだけではなく、調理や清掃、行事運営などに参加し、地域の中で役割を持つことまで想定されています。

奄美市の提案には、さらに興味深い状況があります。地域には空き家がある一方で、実際に住むことのできる住宅は不足しているというのです。そのため、空き家や公共施設などの状況を調べ、地域で使える建物を多世代の住まいや交流拠点として活かす方法を検討します。

「空き家があるのだから、住宅は余っている」とは限りません。

場所が合わない、建物が傷んでいる、権利関係が整理されていない、所有者が活用を決められないなど、さまざまな理由で住宅として使われない家があります。

これからは、単に空き家の数を減らすだけではなく、今ある住宅を必要な人の暮らしへどうつなぎ直すかも重要になります。

今回の6事業の中で、言葉としても興味深いのが岐阜県美濃市の「住み継ぎ中継拠点」です。

美濃市では、家じまいを迎える世代の高齢化によって、歴史ある町家の空き家や空き店舗が増えています。大きな町家は改修費がかかり、相続や権利関係も複雑です。そこで、所有者から次の住み手へすぐに渡すのではなく、建物の状態を確認し、次の担い手を探し、実際に活用を試しながら住み継ぎへつなげる「中継機能」をつくろうとしています。この「中継」という考え方は、一般の住宅にも通じる部分があります。

親が住まなくなったからといって、翌日に「売る」「貸す」「壊す」を決められる家庭ばかりではありません。家族の気持ちを整理する時間が必要なこともあります。建物の状態や相続関係を確認しなければ判断できないこともあります。

一方、そのまま数年間放置すれば、建物は傷み、次の使い方が難しくなることがあります。

「今の住み手」と「次の住み手」の間をどうつなぐか。

これも、空き家が増えていく社会では重要な仕組みになっていくのではないでしょうか。

人生100年と考えると、一つの住宅ですべての時期を快適に過ごすのは簡単ではありません。30代では子ども部屋が必要になる。50代には子どもが独立する。70代になれば階段や庭の管理が負担になるかもしれません。車に乗らなくなれば、駅やスーパー、病院との距離も重要になります。

そのときに、今の家をリフォームする。より便利な場所へ住み替える。今の住宅を次の人へ貸したり売ったりする。家族が使う。地域の別の用途へ活かす。さまざまな選択肢があります。

国の今回の事業でも、高齢者が今いる場所で暮らし続けることだけではなく、既存住宅の活用、医療や福祉との連携、地域交流、次の住み手への継承といった多様な方法が選ばれています。生100年時代の住まいとは、単に「100年持つ丈夫な家」をつくることではありません。

人生の変化に合わせて、住まい方を変えられる環境をつくることでもあるのだと思います。

今回、国土交通省が選定した6事業を見ると、日本の住宅政策が少しずつ広がっていることが分かります。新築するだけではなく、空いている住宅を使う。古民家を地域拠点に変える。高齢者が地域で暮らし続けられる場所をつくる。そして、使われなくなった家を次の住み手へつなぐ。住宅は一度建てたら、その人だけが最後まで使うものとは限りません。

人の暮らしが変われば、住宅の役割も変わります。

「この家に一生住めるだろうか」だけでなく、「暮らしが変わったときに、次にどんな選択ができるだろうか」という視点も必要になるのではないでしょうか。

そして自分が使わなくなった住宅も、そこで役目が終わるとは限りません。

次の住み手へ渡す。地域で活かす。別の暮らしを支える場所へ変える。

人生100年時代とは、人が長く生きるだけではなく、住宅も一つの役割だけで終わらず、次の暮らしへつないでいく時代なのかもしれません。

つづく