こんにちはキャリーライフ中川です。
50〜69歳の意識調査
「家は子どもに残すもの」。これまでの日本では、そんな考え方が比較的自然だったのかもしれません。
リクルートの「50代・60代の住み替え実態調査」では、自分の死後の住まいについて、「子どもに引き継いでほしい」「できれば子どもに住んでほしい」と考える親世代は合わせて11.7%でした。
一方で、「子どもの負担になるなら、できれば自分の代で整理したい」は24.5%です。「家を子どもへ残す」ことが当たり前ではなくなりつつある一方で、実際に家をどうするかまでは決まっていない家庭も少なくありません。
今回は、この数字から「親の家を誰がどうするのか」を考えてみます。

目次
1.「家は子どもが継ぐ」は少数派に
2.残さないことと、整理できていることは別
3.空き家の約6割は相続で取得されている
4.50代・60代だからこそ決められることがある
1.「家は子どもが継ぐ」は少数派に
2026年3月に行われたリクルートの調査では、自分の死後の住まいについて、「子どもに引き継いでほしい」または「子どもに住んでほしい」と回答した人は、合わせて11.7%でした。
一方、「特に強いこだわりはない」が30.0%で最も多く、「子どもの負担になるなら、できれば自分の代で整理したい」が24.5%でした。親世代の意識が変わってきていることが分かります。子どもがすでに別の地域で暮らしている。自分の家を持っている。仕事や子育ての事情で実家へ戻る予定がない。そんな家庭が増えれば、「家を残せば、子どもがそのまま住んでくれる」とは限りません。
家を受け継ぐことと、その家に住むことは、別の話になってきています。また、この調査では資産についても、親世代の24.2%が「ぜいたくをせず一定額を子どもや孫に残したい」と考えていたのに対し、子世代で「一定額を残してほしい」と答えたのは7.4%でした。
住まいだけでなく、「親が残したいもの」と「子どもが受け取りたいもの」が必ずしも一致していないことも見えてきます。
2.残さないことと、整理できていることは別
「子どもに家を残さなくてもよい」と思っていることと、「自分の家をどうするか決まっている」ことは同じではありません。
今回の新聞記事では、50~69歳が現在の住まいに感じる不安として、「老朽化に伴う修繕費用の増加や管理の手間」が36.5%、「将来この家をどうするか、相続・処分などが決まっていない」が31.4%と紹介されています。ここには、今の住まいについての難しさがよく表れています。
子どもに必ず継いでもらおうとは思っていない。自分が住まなくなった後のことも決めていない。そのまま10年、20年が過ぎれば、建物は古くなり、親自身の体力や判断力も変わります。必要なのは、「子どもに残すか、残さないか」だけを決めることではありません。
自分が住まなくなった後、この家にはどんな選択肢があるのかを整理しておくことです。
3.空き家の約6割は相続で取得されている
この問題は、家庭の中だけの話ではありません。総務省の2023年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最高となりました。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、空き家を取得した方法の57.9%が相続です。
さらに注目したい数字があります。相続によって空き家になる前に、何らかの対策をしていた世帯は23.0%。対策をしていなかった世帯は77.0%でした。相続前に対策をしていた場合、その後も空き家のまま所有していた割合は29.4%でしたが、対策をしていなかった場合は45.1%でした。国土交通省は約1.5倍の差があるとしています。(
相続が起きてから考え始める家庭がまだ多い一方、相続前に考えていたかどうかで、その後の動きにも違いが出ているということです。そして相続前に行われていた対策で最も多かったのは、難しい制度の利用ではなく、「被相続人との話し合い」でした。
4.50代・60代だからこそ決められることがある
50代・60代で、自分の家を今すぐ売る必要はありません。子どもに継がせないと決める必要もありません。むしろ、この年代だからこそできるのは、選択肢を整理しておくことです。
まず、子どもはこの家に住みたいと思っているのか。
住まないのであれば、将来は売却するのか、貸すのか、別の使い方ができるのか。建物はあとどのくらい使えそうなのか。大きな修繕が必要になるのはいつ頃か。登記や権利関係、住宅に関する書類は揃っているか。そしてもう一つ、家族にとってこの家にどんな意味があるのか。
ここまで整理して初めて、「残す」「売る」「貸す」「活用する」「解体する」といった選択肢を比較できます。最初から売却を前提にする必要はありません。反対に、思い出があるからという理由だけで、子どもに所有を引き継がせる必要もありません。
親と子、それぞれの暮らしを確認した上で、家の将来を考えることが大切です。
まとめ
今回の調査で、子どもに住まいを引き継いでほしい、または住んでほしいと考える親世代は11.7%でした。一方で、子どもの負担になるなら自分の代で整理したいという人は24.5%います。「家は子どもへ残すもの」という考え方は、少しずつ変わっているようです。
本当に重要なのは、「子どもに残さない」と考えることではなく、「では、この家をどうするのか」まで考えておくことです。全国の空き家は900万戸を超え、その約6割は相続によって取得されています。
一方で、相続前に何らかの対策をしていた世帯はまだ2割程度です。親が元気で、子どもとも話ができる。家の状態も確認できる。選択肢を比較する時間もある。その時期に、「この家、将来どうしようか」と一度話してみる。
家を子どもへ残すことだけが「継承」ではありません。
家をどうするかを決め、その理由や思いまで家族へ伝えておくことも、これからの住まいの引き継ぎ方なのではないでしょうか。
つづく