こんにちはキャリーライフ中川です。
老老介護は「支える側」も高齢化
介護を受ける人だけでなく、介護する人も高齢者である「老老介護」が、珍しい家庭の話ではなくなっています。
厚生労働省が発表した2025年の国民生活基礎調査では、同居しながら在宅介護を行う世帯のうち、介護を受ける人と主な介護者がともに75歳以上の割合は37.1%でした。およそ3世帯に1世帯を超え、過去最高となっています。
高齢の夫婦が支え合いながら暮らすこと自体が、直ちに問題というわけではありません。
ただし、介護する人の体力や健康状態が変わったとき、これまで成り立っていた生活が急に続けられなくなることがあります。
今回は、老老介護の現状と、その数字の中で見落とされやすい「介護する人の暮らし」について考えます。

目次
1.老老介護とはどのような状態か
2.75歳以上同士の介護が37.1%に
3.夫婦だけで介護を続ける家庭が増える背景
4.介護する人も支援を必要としている
1.老老介護とはどのような状態か
老老介護とは、一般的に65歳以上の高齢者が、同じく65歳以上の高齢者を介護している状態を指します。
高齢の夫婦だけとは限りません。80代や90代の親を、65歳を超えた子どもが介護する場合や、高齢の兄弟姉妹が支え合う場合も含まれます。
例えば、夫婦の一方が認知症になり、もう一方が食事、着替え、入浴、服薬などを支える生活です。介護を始めた頃には元気だった人も、数年たてば年齢を重ねます。
介護される人の状態が変わる一方で、支える人の体力や判断力も少しずつ変化します。
老老介護の難しさは、介護する側とされる側の両方に、病気や転倒、認知機能の低下などが起こる可能性があることです。
2.75歳以上同士の介護が37.1%に
2025年の調査では、介護を受ける人と介護する人がともに65歳以上の割合は61.9%でした。老老介護にあたる世帯が、依然として6割を超えています。さらに注目したいのが、ともに75歳以上の組み合わせです。
2001年には18.7%でしたが、2025年には37.1%となりました。約四半世紀で、およそ2倍になっています。2022年の前回大規模調査と比べても割合は上昇し、過去最高となりました。
この数字は、すべての高齢者世帯を対象にした割合ではありません。
同居している家族などが、主な介護者として在宅介護をしている世帯の年齢構成を表したものです。それでも、75歳を超えた人が、日々の介助や家事を担う家庭が増えている現状は見逃せません。介護される人の年齢だけでなく、誰が、何歳で、どのように支えているのかを見る必要があります。
3.夫婦だけで介護を続ける家庭が増える背景
老老介護が増える背景には、高齢者だけで暮らす世帯の増加があります。
2025年の調査では、65歳以上の一人暮らしが933万人を超え、過去最多となりました。
夫婦だけで暮らす高齢者世帯も多く、介護が必要になったとき、最初に支えるのは同居する配偶者になりやすい状況があります。
子どもがいても、近くに住んでいるとは限りません。仕事や子育てがあり、日常的な介護を担うことが難しい家庭もあります。
親から見れば、
「子どもに迷惑をかけたくない」
「まだ二人で暮らせる」
「今の家を離れたくない」
という思いがあります。
子ども側も、親から「大丈夫」と言われれば、どこまで踏み込んでよいか迷います。夫婦で支え合う暮らしは、外からは安定しているように見えることがあります。ところが実際には、介護する人が自分の通院を後回しにしたり、夜間の介助で十分に眠れていなかったりする場合があります。
家族が状況を知ったときには、すでに負担が大きくなっていることもあります。
4.介護する人も支援を必要としている
介護の話になると、どうしても要介護者の状態に目が向きます。
歩けるか。食事ができるか。認知症は進んでいないか。
同じくらい確認したいのが、介護している人の状態です。
- 食事をきちんと取れているか
- 夜に眠れているか
- 腰や膝を痛めていないか
- 自分の通院を続けられているか
- 買い物や掃除が負担になっていないか
- 困ったときに相談できる人がいるか
介護する人が倒れると、介護を受けている人の生活も同時に成り立たなくなる可能性があります。
老老介護では、一人の健康問題が、夫婦二人の生活や住まいの維持に直結します。
高齢の夫婦が今の家で暮らし続けるためには、本人たちの頑張りだけに頼らないことが重要です。家族が定期的に状況を確認する。ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談する。家事や入浴など、負担の大きい部分から外部の力を借りる。
大きな決断を急ぐ必要はありません。
ただ、「まだ大丈夫」という言葉だけで判断せず、日々の暮らしがどのように成り立っているかを見る必要があります。
まとめ
75歳以上同士の介護が37.1%になったという数字は、介護される人だけでなく、介護する人の高齢化も進んでいることを示しています。夫婦で支え合い、住み慣れた家で暮らすことは、大切な選択肢です。
一方で、一方の体調悪化や転倒をきっかけに、二人の生活が急に難しくなる可能性があります。
老老介護への備えは、施設へ入るかどうかを決めることだけではありません。介護する人の体力、住まいの安全性、家族との連絡、外部サービスの利用状況を、元気なうちから確認しておくことです。
介護を受ける人を支えるためにも、まず支えている人を孤立させない。
これからの介護では、その視点がますます重要になります。
つづく