こんにちはキャリーライフ中川です。
実家の所有者が今から考えたいこと
空き家を所有しているだけで、固定資産税とは別の税金が加わる。
そのような制度が、自治体単位で動き始めています。
大阪府寝屋川市では「空き家流通促進税」の条例が成立しました。京都市でも、空き家や別荘などを対象とする「非居住住宅利活用促進税」を、2030年度から開始する予定です。
同じような課税が全国の自治体に広がっていくのでしょうか。
現時点で全国一律の「空き家税」が決まったわけではありません。ただ、空き家が増え続ける地域にとって、課税によって活用や売却を促す考え方は、今後の選択肢の一つになりそうです。
制度が始まってから慌てるのではなく、実家や自宅が将来使われなくなった場合を、今から考えておく必要があります。

目次
1.空き家への追加課税は全国共通ではない
2.ほかの自治体にも広がる可能性はあるのか
3.空き家率15.8%の広島も無関係ではない
4.実家の所有者が今から確認したいこと
1.空き家への追加課税は全国共通ではない
現在動いている空き家への課税は、国が全国一律に設けた税金ではありません。
それぞれの自治体が、地域の住宅事情や空き家問題に合わせて設計しています。
京都市の「非居住住宅利活用促進税」は、市街化区域内にある、実際の居住者がいない住宅の所有者が対象です。空き家だけではなく、別荘やセカンドハウスなども含まれます。
売却や賃貸を予定している住宅、事業に使っている住宅、入院や施設入所などで一時的に居住していない住宅には、課税免除や減免の仕組みが設けられています。
寝屋川市の制度は、市内全域にある空き家の市場流通を促すことを主な目的としています。
同じ「空き家への課税」でも、対象地域、課税対象、税額、免除条件、制度の目的は同じではありません。
その地域に、
- どのような空き家が多いのか
- 住宅を必要とする人がいるのか
- 市場に出ていない住宅がどれくらいあるのか
- 放置による防災や防犯上の問題が起きているのか
によって、制度の形は変わります。
「空き家を持っている人に一律で罰金を科す」という単純な仕組みではありません。
住宅を使わず、貸さず、売却にも出さない状態を減らし、次に使う人へつなげることが主な目的です。
2.ほかの自治体にも広がる可能性はあるのか
今後、空き家への追加課税を検討する自治体が増える可能性はあります。
人口減少や高齢化が進む地域では、住宅を必要とする世帯が減る一方で、親から子へ相続される住宅は増えていきます。
空き家が増えると、自治体には所有者調査、近隣からの相談、防災、防犯、衛生、景観などへの対応が求められます。
住宅は個人の財産ですが、管理されない状態が続くと、周囲や地域にも影響が及びます。
京都市は、居住者のいない住宅が住宅供給を妨げ、防災、防犯、生活環境、地域コミュニティにも影響するとして、新税を導入しました。税収は空き家活用の支援などに使う方針です。
寝屋川市も、空き家の流通を促す新しい方法を検討するため、約1年間にわたり7回の審議を行っています。
ただし、全国へすぐに広がるとは限りません。
課税対象となる住宅を把握するには、住民票だけではなく、電気や水道の使用状況、建物の利用実態、売却や賃貸の募集状況などを確認する必要があります。
相続直後、施設入所、長期入院、転勤、改修中など、本当に放置されている空き家とはいえないケースもあります。
京都市では、課税システム開発の影響によって、開始予定が1年延期されました。空き家を正確に把握し、公平に課税する仕組みづくりは簡単ではありません。
今後は、先行する自治体で、
- 空き家が市場に出たか
- 所有者の負担が過大になっていないか
- 課税対象を公平に判断できたか
- 税収以上の行政コストがかかっていないか
などを検証しながら、ほかの自治体が導入の是非を判断すると考えられます。
3.空き家率15.8%の広島も無関係ではない
広島県内の空き家は、2023年時点で23万1,400戸あります。
空き家率は15.8%で、全国平均の13.8%を上回っています。住宅に置き換えると、およそ6戸に1戸が空き家という計算です。現時点で、広島県内に寝屋川市や京都市と同じ空き家への追加課税が導入されると決まったわけではありません。
広島県では現在、空き家バンク、相談窓口、専門家の派遣、市町の補助制度などを通じて、活用や除却を支援しています。水道データを使って空き家と推定される建物を抽出するシステムも構築しています。支援によって空き家の活用や適正管理が進めば、直ちに新しい税金が必要になるとは限りません。
反対に、使い道の決まらない空き家が増え、現在の支援だけでは対応できなくなれば、課税を含む新しい制度が議論される可能性はあります。
特に広島では、都市部の団地、中山間地域、島しょ部で事情が異なります。
住宅需要がある地域では、空き家を市場に出すことで新たな住まいとして活用できる可能性があります。
需要が少ない地域では、売りに出しても買い手が見つからないことがあります。課税されても、売却、賃貸、活用のいずれも難しい住宅が残ることも考えられます。
空き家への課税は、どの地域でも同じ効果が出る制度ではありません。
税金だけでなく、片付け、相続、修繕、解体、地域での活用まで含めた支援が必要です。
4.実家の所有者が今から確認したいこと
追加課税が自分の地域で始まるかどうかを、今すぐ予測することはできません。
ただし、実家が将来空き家になる可能性があるなら、制度が始まる前から確認できることがあります。
▪登記上の所有者は誰か
固定資産税を払っている人と、登記上の所有者が同じとは限りません。
祖父母や亡くなった親の名義が残っていると、売却や活用の前に相続登記が必要になります。
▪将来住む人がいるか
「いつか子どもが住むかもしれない」という話が、家族の共通認識になっているとは限りません。
誰が、いつ頃、どのように使うのかまで確認する必要があります。
▪年間でいくらかかっているか
固定資産税だけではなく、火災保険、草刈り、修繕、通風や通水、交通費なども含めて整理します。
保有を続ける判断にも、実際の維持費を知ることが欠かせません。
▪誰が管理するか
親が施設へ入った場合や、子どもが遠方に住んでいる場合、定期的に家を確認できる人が必要です。
所有者と管理する人を分ける場合は、鍵や連絡先の共有も必要になります。
▪建物はどのような状態か
雨漏り、シロアリ、設備の故障、庭木の越境などは、時間が経つほど対応費用が増えやすくなります。
売るか残すかを決める前にも、現在の状態を知っておく意味があります。
▪家財や仏壇をどうするか
実家の整理が進まない原因は、建物よりも中にある物の場合があります。
必要な物、家族で分ける物、処分する物を少しずつ整理しておけば、急な相続や施設入所にも対応しやすくなります。
▪どの選択肢があるか
選択肢は売却だけではありません。
家族が住む、賃貸する、事業に使う、地域に貸す、適切に管理しながら残す、建物を解体して土地を活用する方法もあります。
実現できるかどうかは、立地、建物の状態、権利関係、費用によって変わります。
▪いつ判断するか
「まだ元気だから」「相続してから考える」と先送りすると、判断できる人や選べる方法が減ることがあります。
親の施設入所、免許返納、大きな修繕、相続など、暮らしが変わる時期を一つの目安として決めておくことが大切です。
まとめ
空き家への追加課税は、2026年7月時点で全国共通の制度ではありません。
ただ、京都市と寝屋川市が、それぞれ異なる仕組みで住宅の活用を促そうとしていることは、空き家対策の変化を示しています。
これまでは、危険な空き家になってから行政が対応する方法が中心でした。
今後は、まだ使える住宅が市場に出ない状態や、方針が決まらないまま保有されている状態にも、自治体が働きかける流れが強くなる可能性があります。
だからといって、税金を心配して、実家を急いで売る必要はありません。
大切なのは、住まなくなった後に初めて考えるのではなく、今のうちに家族の希望、所有関係、建物の状態、費用を整理しておくことです。
残すにも、活かすにも、手放すにも準備がいります。
空き家への課税が広がるかどうか以上に、実家の将来を「誰かがいつか決めること」にしない姿勢が求められています。
つづく