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こんにちはキャリーライフ中川です。

日本では、使われていない住宅が増えています。2023年の空き家は900万2,000戸。総住宅数に占める割合は13.8%で、どちらも過去最高となりました。

住宅が余っているなら、新しい家を建てず、空き家を使えばよい。数字だけを見ると、そのように感じます。ところが、空き家の数が多いことと、住みたい人が利用できる住宅が十分にあることは同じではありません。

今回は、空き家が増える中でも新築住宅が必要とされる理由と、これからの家づくりに求められる考え方を整理します。

目次

1.住宅数は世帯数をすでに上回っている
2.空き家があっても、そのまま住めるとは限らない
3.住みたい場所と空き家のある場所が一致しない
4.問題は新築ではなく、次へ引き継げない家を増やすこと

2023年時点の国内の総住宅数は6,504万7,000戸です。一方、総世帯数は5,621万5,000世帯。住宅は世帯より約883万戸多く、1世帯当たりでは1.16戸あります。住宅数が世帯数を上回ったのは最近のことではありません。1968年に逆転し、その後も住宅の方が多い状態が続いています。それでも、住宅は毎年新しく建てられています。

2025年の新設住宅着工戸数は74万667戸でした。前年より6.5%減少しているものの、持家、賃貸住宅、分譲住宅を合わせると、現在も年間70万戸を超える住宅が着工されています。ここだけを見ると、「古い住宅を残したまま、新しい住宅を増やしている」という矛盾した状態にも見えます。

国内に存在する住宅の総数と、実際に暮らしの選択肢になる住宅の数には大きな違いがあります。

900万2,000戸の空き家には、入居者を募集している賃貸住宅、売却中の住宅、別荘なども含まれています。その中で、賃貸用、売却用、二次的住宅を除く、使い道が定まっていない空き家は385万6,000戸です。2018年から36万9,000戸増えました。これらの住宅も、すぐに新しい住まいとして使えるとは限りません。

例えば、次のような問題があります。

  • 長期間使われず、雨漏りや腐食が進んでいる
  • 現在の耐震性や断熱性を満たしていない
  • 水回りや電気設備の交換が必要
  • 家財や仏壇が残っている
  • 相続登記が終わっていない
  • 共有者の意見がまとまらない
  • 所有者に売却や賃貸の意思がない

中古住宅は、新築より価格が低く見えても、購入後に大きな改修費が必要になる場合があります。耐震改修、断熱工事、屋根や外壁、水回りの交換まで行えば、新築との価格差が小さくなることもあります。反対に、適切に管理され、建物の状態や修繕履歴が分かる住宅であれば、中古住宅は十分に有力な選択肢になります。

国土交通省の資料では、新築と既存住宅を合わせた流通量のうち、既存住宅が占める割合は2013年の30.8%から、2023年には40.4%まで上昇しています。戸建住宅に限っても、既存住宅の割合は同期間に22.4%から30.5%へ増えました。

中古住宅が選ばれないのではありません。

状態や価格が分かり、安心して買える住宅は、少しずつ選ばれるようになっています。

住宅は、建物だけで価値が決まるものではありません。通勤、通学、買い物、医療、公共交通、災害リスクなど、立地が暮らしを大きく左右します。空き家が多くても、それが住宅を求める人の多い地域にあるとは限りません。

人口が減少している中山間地域や、交通の便が悪くなった郊外では、売却価格を下げても買い手が見つからない住宅があります。

一方、駅周辺、学校や病院に近い地域、子育てしやすい地域では、新築住宅を求める人がいます。

同じ市内でも、

  • 住宅が余っている地域
  • 中古住宅が流通している地域
  • 土地や住宅が不足している地域
  •  

また、家族が住宅に求めるものも変化しています。共働き世帯であれば、通勤時間や家事動線が重視されます。高齢期まで暮らすなら、階段の少なさや断熱性能、病院への行きやすさも重要です。空き家が存在するという理由だけで、場所や性能を問わず住み替えることはできません。そのため、空き家が増えていても、必要な地域には新しい住宅が建てられます。

新築住宅を建てること自体が、空き家問題の原因とは限りません。

現在の耐震・断熱性能を備え、長く維持できる住宅を、需要のある地域に建てる意味はあります。問題になるのは、建築後のことを考えずに住宅を増やすことです。

家を建てた時点では、子育て世帯に適した住宅でも、30年後には夫婦二人や一人暮らしになる可能性があります。階段の上り下りが難しくなる。庭の管理ができなくなる。子どもは別の地域に家を持ち、実家を引き継がない。そのとき、売却しにくい立地や間取り、修繕履歴の分からない住宅であれば、次の使い手へ渡すことが難しくなります。

これからの新築住宅には、完成時の快適さだけでなく、次のような視点が必要です。

  • 家族が減っても使いやすい広さ
  • 高齢になっても移動しやすい間取り
  • 修繕しながら長く使える構造
  • 点検や改修の履歴を残す仕組み
  • 売却や賃貸を選びやすい立地
  • 子どもが引き継がない場合の出口
  • 所有者が変わっても使い続けられる性能

国も、既存住宅を取得・流通・管理の各段階で活用し、新築住宅と既存住宅のどちらも選べる市場づくりを検討しています。

これからは、新築か中古かの二者択一ではありません。新築住宅を長く使える資産として建てること。使える空き家は改修して次へつなぐこと。役割を終えた住宅は、適切に解体や土地活用へ進めること。住宅の入口と出口を一つの流れとして考える必要があります。

日本では、住宅数が世帯数を上回り、空き家も900万戸を超えています。

それでも新築住宅が必要とされるのは、空き家のすべてが、必要な場所にある安全で利用可能な住宅ではないからです。

空き家が多いから新築をやめる。

古いからすべて建て替える。

どちらも単純すぎる考え方です。

大切なのは、使える住宅を見極め、次の人へつなぐこと。そして、新しく建てる住宅を将来の空き家にしないことです。

これからの家づくりでは、

「どのような家を建てるか」だけでなく、「家族が住まなくなった後、その家をどう引き継ぐか」まで考える必要があります。家をつくることと、最後まで活かし切ること。その両方が、新築戸建ての価値を決める時代に入っています。

つづく