こんにちはキャリーライフ中川です。
住宅着工が減っている3つの理由
新築戸建ての価格が上がり、以前より購入しにくくなったという声が増えています。
資材価格や人件費が上がる一方、少子化と人口減少が進み、全国では空き家が増え続けています。
「これから新築戸建ては必要とされなくなるのか」
「今、家を建てても将来価値がなくなるのか」
新築戸建てがすぐになくなるわけではありません。ただ、誰が、どこに、どのような家を建てるのかは、これまで以上に問われる時代になっています。
今回は、住宅着工が減少している現状と、その背景にある3つの理由を整理します。

目次
1.新築住宅は3年連続で減少
2.資材・人件費の上昇で家が高くなった
3.少子化で住宅を求める世帯が減っていく
4.家が余る時代に新築戸建てへ求められること
1.新築住宅は3年連続で減少
国土交通省によると、2025年の新設住宅着工戸数は74万667戸でした。前年より6.5%減少し、3年連続の減少となっています。
自分で住むために建てる「持家」は20万1,285戸で、前年比7.7%減。4年連続で減少しました。建売住宅にあたる分譲一戸建ても11万5,935戸で、前年比4.3%減。こちらも3年連続で減少しています。住宅着工は景気、金利、税制、住宅関連制度の変更などにも左右されるため、毎年同じように減り続けるとは限りません。それでも、注文住宅と分譲一戸建ての双方が複数年にわたって減っていることから、一時的な動きだけでは説明できない市場の変化が見えます。
住宅が欲しくても、予算内で希望する家を建てにくい。
家を持つことより、賃貸や中古住宅を選ぶ。
結婚や子育ての時期が変わり、住宅を購入する年齢も上がる。
新築戸建てを取り巻く前提そのものが変わり始めています。
2.資材・人件費の上昇で家が高くなった
住宅価格が上がっている大きな理由は、土地だけではありません。木材、鋼材、コンクリート、断熱材、住宅設備など、家づくりに必要な資材の価格が上昇しています。
国土交通省は、2021年後半から原材料費やエネルギーコストの上昇によって建設資材が高騰し、それに伴って建設コストも上昇したと整理しています。2023年以降は一部で横ばいの動きも見られますが、価格が以前の水準へ戻ったわけではありません。(国土交通省)
2026年6月の調査でも、鋼材、合板、石油など一部の主要資材は、前月と比べて「やや上昇」とされています。(国土交通省)
人件費も上がっています。
建設業では職人の高齢化や担い手不足が続いています。材料があっても、施工する人が足りなければ、工期や人件費へ影響します。住宅会社が利益を大きく上乗せしているから高い、という単純な話ではありません。以前と同じ広さ、同じ仕様で建てようとしても、材料費、運搬費、人件費、住宅設備費が増えれば、販売価格も上げざるを得ません。
その結果、購入者側では、
- 建物を小さくする
- 希望する設備を減らす
- 土地の場所を変える
- 中古住宅を検討する
- 建築そのものを見送る
といった選択が増えます。
価格の上昇は、単に家計の負担を増やすだけでなく、新築戸建てを選べる世帯を狭めています。
3.少子化で住宅を求める世帯が減っていく
2026年4月時点の15歳未満人口は1,329万人です。前年から35万人減少し、45年連続で過去最少を更新しました。総人口に占める子どもの割合も10.8%まで下がっています。現在の子どもの減少が、すぐに今年の住宅販売戸数へ表れるわけではありません。
ただ、将来成人し、結婚や子育てをして住宅を求める世代の人数は、長期的に少なくなります。家族の形も変わっています。
国立社会保障・人口問題研究所は、2030年代前半に平均世帯人員が初めて2人を下回ると推計しています。単身世帯や夫婦だけの世帯が増え、「夫婦と子どもが住む大きな戸建て」を標準とする考え方は、少しずつ現実と合わなくなっています。これから必要とされる住宅は、必ずしも延べ床面積の大きな家ではありません。一人や二人でも管理しやすい。光熱費を抑えられる。階段の負担が少ない。将来、売却や賃貸へ転用しやすい。
世帯が小さくなるほど、住宅にも「広さ」より「使いやすさ」が求められます。
4.家が余る時代に新築戸建てへ求められること
日本では、すでに住宅数が世帯数を上回っています。2023年の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万戸を超え、空き家率は13.8%となりました。家が余っているなら、新築を建てる必要はないようにも見えます。ただ、空き家のすべてが、そのまま次の住まいとして使えるわけではありません。仕事や学校から遠い。耐震性や断熱性に不安がある。修繕費が大きい。相続や共有名義が整理されていない。所有者に売却や賃貸の意思がない。
住宅は余っていても、今の暮らしに合う住宅が、必要な場所にあるとは限りません。
だからこそ、新築戸建てがなくなるとは考えにくいでしょう。一方で、人口が減る地域に住宅地を広げ、将来の管理や継承を考えずに建て続ければ、新しい空き家を生む可能性があります。
これから新築戸建てに求められるのは、建てたときの新しさだけではありません。
- 長く使える性能がある
- 高齢になっても暮らしやすい
- 修繕や維持管理がしやすい
- 家族構成の変化に対応できる
- 売却や賃貸など、次の使い方を選べる
- 子どもが引き継げなくても家じまいしやすい
こうした将来まで見据えた設計が、住宅の価値を左右します。
まとめ
新築戸建ての着工が減っている背景には、資材や人件費の上昇、少子化による住宅取得世帯の減少、空き家を含む既存住宅の増加があります。
今後、新築戸建てを購入できる世帯や、住宅需要が見込める地域は、さらに絞られていく可能性があります。ただ、新築戸建てそのものが必要なくなるわけではありません。
新しい性能や、今の家族に合った間取りを求める人はいます。中古住宅だけでは満たせない需要も残ります。
変わるのは、新築を建てる意味です。建てることをゴールにするのではなく、住み続ける期間、家族が変化した後、最後に誰がどのように引き継ぐのかまで考える。
これからの新築戸建ては、完成時の満足だけでなく、将来、空き家にしないための設計と仕組みまで含めて選ばれる時代になるのではないでしょうか。
つづく