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こんにちはキャリーライフ中川です。

「住み続けるお金」で考える

「家を買った方がいいのか、それとも賃貸のままがいいのか。」住宅について長く語られてきたテーマです。住宅ローンを払い終えれば自分の家が残る持ち家。一方、賃貸なら大きな住宅ローンを抱えず、家族構成や仕事に合わせて住み替えやすい。どちらにもメリットがあります。結論からいえば、持ち家と賃貸のどちらが老後に安心かは、「所有しているか」だけでは決まりません。住宅ローン、家賃、修繕費、住み替えやすさ、立地、そして70代、80代になったときの暮らしまで含めて考える必要があります。

今回は「買うか借りるか」ではなく、一生の住まいにどんなお金と選択肢が必要なのかという視点から考えてみます。

目次

1.日本では高齢になるほど持ち家が多い
2.持ち家はローンが終われば住宅費ゼロ?
3.賃貸は老後も身軽に住み替えられる?
4.大切なのは「どちらが得か」より暮らしの変化に対応できること

総務省の2023年住宅・土地統計調査では、主世帯全体の持ち家割合は60.9%でした。

一方、高齢者のいる世帯では81.6%が持ち家です。高齢夫婦のみの世帯では87.6%、高齢単身世帯でも67.5%が持ち家に暮らしています。日本では、「若いうちに住宅を取得し、住宅ローンを返しながら、老後はその家で暮らす」という住まい方が長く一般的だったことが数字にも表れています。

持ち家の安心は分かりやすいものがあります。住宅ローンを完済すれば家賃を払い続ける必要がなく、住み慣れた家と地域で暮らせます。住宅や土地という資産も残ります。

「家を持っていること」と「老後もその家で安心して暮らせること」は、必ずしも同じではありません。

30代で購入した住宅に70代まで暮らせば、家も40年近く年齢を重ねています。人だけでなく、住宅も老後を迎えるからです。

住宅ローンを完済すると、「これで住居費がなくなる」と感じます。確かに毎月のローン返済がなくなる効果は大きいでしょう。持ち家にはその後も費用がかかります。固定資産税がありますし、戸建住宅なら屋根や外壁、給湯器、水回りなどの修繕が必要になります。マンションでも管理費や修繕積立金などがあります。

さらに大きいのが、家と暮らす人の変化です。子育てのために購入した4LDKも、子どもが独立すれば夫婦2人で使うことになります。その後、一人暮らしになる可能性もあります。以前は気にならなかった階段が負担になる。庭の管理が難しくなる。車を運転しなくなり、スーパーや病院までの距離が問題になることもあります。

そうなると、「住宅ローンを完済したから、この家に一生住む」だけではなく、「この家は、これからの自分の暮らしにも合っているか」を見る必要があります。

国の住生活基本計画でも、高齢期に向けて、住宅資産を活用しながら、性能・規模・立地・経済面でライフスタイルに合った住まいへの住み替えやリフォームを進める方向が示されています。持ち家の安心とは、「動かなくてよい安心」だけではなく、必要になったときに家を直す、売る、住み替えるという選択肢を持てることでもあると思います。

一方、賃貸の大きな特徴は住み替えやすさです。若い頃は職場に近い場所。子どもが生まれたら広い住宅。夫婦2人になればコンパクトな住宅。高齢になれば病院やスーパーに近い場所。住宅を所有しないからこそ、その時々の暮らしに合わせて住まいを変えやすいというメリットがあります。

大規模な外壁修繕や屋根交換を自分で負担する必要も基本的にはありません。

ただし、賃貸には別のリスクがあります。住宅ローンには完済がありますが、家賃には原則として終わりがありません。60歳でも80歳でも、住んでいる限り家賃を払い続けます。そのため老後の収入になったときにも無理なく払える家賃なのかを考える必要があります。

また、高齢者が賃貸住宅を借りる際の受け入れについても課題があります。

2023年時点でも高齢単身世帯の32.2%は借家で暮らしています。今後一人暮らしの高齢者が増えることを考えれば、高齢期の賃貸住宅はさらに重要になります。

2026年の住生活基本計画でも、高齢者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供や円滑な入居を進めることが政策として掲げられています。

賃貸は、「持たないから気楽」だけではなく、老後も払い続けられることと、必要な住宅へ住み替えられる環境があることまで考えておく必要があります。

持ち家と賃貸を比較すると、「結局どちらが得なのか」という話になりがちです。

例えば35年間住宅ローンを支払う金額と、35年間家賃を払う金額を比較する。

一つの判断材料にはなります。ただ、人生は35年間同じ条件ではありません。

家族人数が変わります。収入も変わります。働く場所も変わるかもしれません。親の介護や自分自身の健康によって、住みたい場所が変わることもあります。

住宅に長く関わってきた立場から見ると、「持ち家と賃貸のどちらが得か」より、「暮らしが変わったとき、その住まいから動けるか」の方が重要になるケースがあります。

持ち家なら、売却できる住宅なのか。大きな修繕費を用意できるか。将来一人になっても管理できるか。

賃貸なら、老後も家賃を払えるか。高齢になったときにも借りられる住宅があるか。便利な場所へ住み替えられるか。

同じ「住居費」でも、見るものが違います。どちらを選んでも共通していることがあります。

家族や年齢が変われば、ちょうどよい住まいも変わるということです。

持ち家には、住宅ローンを完済した後も住み続けられる安心があります。賃貸には、暮らしの変化に合わせて住み替えやすいという良さがあります。どちらにも費用があり、どちらにもリスクがあります。「持ち家なら老後は安心」「賃貸なら一生身軽」と単純に考えることはできません。

むしろ考えておきたいのは、70歳、80歳になったとき、その住まいでどんな生活をしているか。住宅ローンは終わっていても、築40年の家に大きな修繕が必要になるかもしれません。家賃を払える資金があっても、買い物や通院に不便な場所では暮らしにくくなることがあります。国も人生100年時代を見据え、高齢期になる前から住宅資産の活用や住み替え、リフォームを考えられる環境づくりを進めています。

住宅は「買うか借りるか」を決めたら終わりではありません。今の自分に合う住まいを選び、その後も人生の変化に合わせて見直していく。持ち家か賃貸かを考える本当の意味は、「どちらがお金で得か」だけではなく、長い人生の中で自分の住まいをどう確保し続けるかを考えることにあるのではないでしょうか。

つづく