こんにちはキャリーライフ中川です。
土地の価格が、また上がっています。国土交通省が2026年9月15日に公表した「都道府県地価調査」では、全国平均の住宅地、商業地、全用途平均がいずれも5年連続で上昇しました。住宅地は前年比1.0%、商業地は2.9%上昇しています。工業地も3.3%上昇しました。全国21,466地点を対象に、2026年7月1日時点の土地価格を調べた結果です。
「人口が減っているのに、どうして土地は高くなるの?」そう感じる人もいるのではないでしょうか。実は今起きているのは、日本中の土地が一斉に値上がりしているという単純な動きではありません。
住宅、商業、観光、再開発などで需要のある土地へ、人とお金が集まっている。
今回は、5年連続で地価が上昇している背景と、自分の家や土地を見るときに知っておきたいことを整理します。

目次
1.そもそも「地価が上がった」とはどういうこと?
2.なぜ人口が減っているのに土地は高くなる?
3.全国上昇でも、すべての土地が上がっているわけではない
4.自分や親の土地は「昔の価格」ではなく今を見る
1.そもそも「地価が上がった」とはどういうこと?
今回発表されたのは「基準地価」です。
基準地価とは、都道府県が毎年7月1日時点で全国の基準となる土地を調査し、1㎡当たりの価格を公表するものです。不動産鑑定士による鑑定評価をもとに価格が判定され、土地取引の一つの目安として利用されています。今回の全国平均では、住宅地が1.0%、商業地が2.9%上昇しました。地域別に見ると、その差はさらに大きくなります。
東京圏では住宅地が4.0%、商業地が8.9%上昇。大阪圏も住宅地2.3%、商業地6.8%の上昇でした。一方、三大都市圏を除く地方圏では、住宅地の上昇率は0.1%、商業地は0.9%です。
「全国の地価が上がった」といっても、東京の住宅地と地方の住宅地では状況が大きく違います。さらに札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市では、地価そのものは上昇しているものの、今年は上昇幅が縮小しました。
全国平均だけでは、実際の土地の動きは見えてこないのです。
2.なぜ人口が減っているのに土地は高くなる?
日本全体では人口が減少しています。それでも地価が上昇する理由の一つは、土地の価格が「人口の総数」だけで決まるわけではないからです。
例えば、駅に近く通勤しやすい住宅地には、依然として住宅需要があります。
都市の中心部ではマンション用地を求める事業者もいます。大型の再開発が行われれば、オフィスや商業施設、ホテルなどが集まり、周囲の土地への期待も高まります。
観光地では、訪日客の増加によってホテルや店舗などの需要が強くなる地域があります。
工業地についても、物流施設や工場などが必要とされる場所では土地需要が発生します。
国土交通省も今回、景気が緩やかに回復する中で、地域や用途による差はあるものの、三大都市圏で地価の上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が続いているとしています。
土地の基本的な性質が関係してきます。便利な駅の近くに、新しい土地を無限につくることはできません。中心市街地も、人気の住宅地域も、観光地も同じです。
欲しい人が増えても、土地そのものは増えない。需要が強い場所で土地の供給が限られていれば、価格は上がりやすくなります。人口減少と地価上昇は、一見すると矛盾しているようですが、人口全体が減っていても「住みたい場所」「使いたい場所」への需要が集中すれば、土地価格は上昇するのです。
3.全国上昇でも、すべての土地が上がっているわけではない
今回のニュースで最も注意したいのは、「全国平均が上昇した=自分の土地も値上がりした」ではないということです。
国土交通省の調査でも、地方圏の住宅地の平均上昇率は0.1%にとどまります。東京圏の4.0%とはかなり差があります。
同じ県内、同じ市内でも違います。駅から近い地域では上昇していても、公共交通が少なく、買い物や医療が不便な地域では需要が弱いことがあります。以前は人気だった住宅地でも、人口構成や交通環境が変われば評価が変わることがあります。
逆に、これまで目立たなかった地域でも、新しい駅や道路、大型商業施設、企業進出、再開発などによって需要が高まることがあります。
地価を見るときには、「東京だから上がる」「地方だから下がる」という二つだけでは判断できません。同じ都市の中でも、選ばれる場所と、そうでない場所の差が広がっていると見る必要があります。
これは住宅を選ぶときにも重要です。家そのものの広さや新しさだけでなく、駅、買い物、医療、学校、道路、災害リスクなど、周辺の生活環境まで含めて土地の価値は形成されていきます。
4.自分や親の土地は「昔の価格」ではなく今を見る
土地の話になると、「この土地は昔、かなり高かった」という話を聞くことがあります。
反対に、「田舎の古い家だから価値なんてない」と最初から思っている人もいます。
どちらも、一度確認した方がよいと思います。
土地の価値は固定されたものではありません。30年前に高かった場所が、現在も同じように需要があるとは限りません。反対に、古い住宅が建っていて建物自体には大きな価値がなくても、土地の立地によっては一定の需要がある場合があります。
特に実家については、「親がいくらで買ったのか」より、「今、この場所にどのような需要があるのか」を見ることが大切です。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、地価公示や都道府県地価調査の地点だけでなく、不動産取引価格なども確認できます。今回の2026年の基準地についても9月16日から掲載予定とされています。基準地価そのものが、自分の土地の売却価格になるわけではありません。道路への接し方、土地の形や高低差、面積、用途地域、災害リスク、周辺環境、建物の状態などによって実際の市場価格は変わります。基準地価は、あくまで地域の土地価格がどちらへ動いているのかを見る一つの物差しです。
まとめ
2026年の基準地価は、全国平均で住宅地・商業地ともに5年連続の上昇となりました。
住宅地は1.0%、商業地は2.9%上昇しています。人口が減っている日本で地価が上がる背景には、都市部の住宅需要、再開発、商業や観光など、土地を必要とする需要が特定の地域へ集まっていることがあります。
そして、土地は新しく増やせません。便利で需要のある場所ほど、限られた土地を求める人が増えれば価格も上がります。
一方で、全国すべての土地が同じように値上がりしているわけではありません。
東京圏の住宅地が4.0%上昇する一方、地方圏では0.1%の上昇です。地域だけでなく、同じ市の中でも立地によって差があります。
今回の「地価5年連続上昇」というニュースから考えたいのは、「土地は高くなっているらしい」で終わらせず、自分が持っている土地は今どう評価されているのかを知ることだと思います。
自宅の土地。将来住み替えるかもしれない家。そして、いずれ家族で考えることになる親の実家。昔の購入価格や固定資産税の評価だけでは、現在の土地の価値は分かりません。地価が動いている今だからこそ、住まいを建物だけで見るのではなく、「その場所にどのような価値があるのか」まで一度見てみる。
土地と長く付き合っていくための、一つのきっかけになるのではないでしょうか。
つづく