こんにちはキャリーライフ中川です。
支える職員が増えない現場で何が起きる?
高齢化に伴い、介護を必要とする人は増え続けています。一方、介護現場で働く職員数は、一度減少した後も大きく回復していません。
厚生労働省によると、2026年4月末時点の要介護・要支援認定者は738万人です。65歳以上の約5人に1人が、何らかの認定を受けています。2024年10月時点の介護職員数は約212万6,000人。前年より増えたのは487人で、ほぼ横ばいでした。
介護を必要とする人が増えても、支える人が同じように増えるとは限りません。
今回は、介護人材の現状と、人手不足が本人や家族の暮らしにどのような影響を与えるのかを考えます。

目次
1.介護認定者は制度開始時の3倍を超えた
2.介護職員は減少後もほぼ横ばい
3.人手不足は家族の暮らしにも影響する
4.限られた人材で介護を支えるために必要なこと
1.介護認定者は制度開始時の3倍を超えた
介護保険制度が始まった2000年、要介護・要支援認定者は約218万人でした。2026年4月末には738万人となり、制度開始時の3倍を超えています。認定者全員が、同じ程度の介護を必要としているわけではありません。家事や移動の一部に支援が必要な要支援者から、食事、排せつ、入浴などで常時介護を必要とする要介護者まで、状態はさまざまです。
2026年4月の介護サービス受給者は、居宅サービスが約443万7,000人、地域密着型サービスが約93万1,000人、施設サービスが約97万人でした。多くの人が、自宅や地域でサービスを利用しながら暮らしています。介護を必要とする人が増えれば、訪問介護、デイサービス、施設、福祉用具、ケアマネジメントなど、それぞれの現場で必要な人員も増えます。
しかし、働き手となる世代そのものが減少する中で、介護分野だけが人材を大幅に増やすことは簡単ではありません。
2.介護職員は減少後もほぼ横ばい
2023年10月時点の介護職員数は約212万6,000人で、前年から約2万9,000人減少しました。2024年は212万6,227人となりましたが、前年からの増加は487人です。減少には歯止めがかかったものの、回復したといえるほどの増加ではありません。
国は、必要となる介護職員数を、
- 2026年度:約240万人
- 2040年度:約272万人
と推計しています。2024年の職員数と単純に比べると、2026年度の必要数までは約27万人の差があります。介護関係職種の有効求人倍率も、2024年10月時点で4.23倍でした。仕事を探す人1人に対して、4件を超える求人がある状態です。人材を募集しても、必要な人数を確保できない事業所が多いことがうかがえます。
介護の仕事には、身体介護だけでなく、記録、家族との連絡、医療機関との情報共有、移動、会議なども含まれます。職員が不足すると、現場に残る一人ひとりの負担が増えます。忙しさによって職員が離れ、さらに人手不足になるという循環も避けなければなりません。
3.人手不足は家族の暮らしにも影響する
介護人材不足は、介護事業者だけの問題ではありません。本人や家族にとっては、必要なときに、希望する支援を受けられるかという問題です。
地域や事業所の状況によっては、
- 希望する曜日や時間に訪問してもらえない
- デイサービスの利用日を増やしにくい
- 自宅近くに利用できる事業所が少ない
- 入所を希望しても、すぐには施設が決まらない
- 家族による送迎や見守りが必要になる
といったことが起こる可能性があります。
特に訪問介護は、職員が利用者の自宅を一軒ずつ訪ねます。移動時間が長い中山間地域や、利用者が点在する地域では、同じ人数の職員でも対応できる件数に限りがあります。事業所が少なくなれば、「自宅で暮らしたい」という希望を支えることも難しくなります。
その結果、サービスで補えない部分が、配偶者や子どもなどの家族へ戻ることがあります。
ただし、家族にも仕事や子育てがあり、遠方に住んでいる場合もあります。介護保険は、介護を家族だけに任せず、社会全体で支えるための制度です。人材が不足することで、再び家族の頑張りへ依存する形にならないようにする必要があります。
4.限られた人材で介護を支えるために必要なこと
介護職員を増やす取り組みは欠かせません。国は、処遇改善、人材育成、離職防止、ICTの活用、外国人介護人材の受け入れなどを進めています。ただ、将来必要になる人数を、採用だけで確保するのは簡単ではありません。限られた人材で介護を支えるには、現場の仕事を整理する視点も必要です。
例えば、介護記録をデジタル化して同じ内容を何度も書かない。センサーや見守り機器を使い、夜間の負担を減らす。介護職員でなくてもできる家事や配達は、地域や民間サービスと分担する。
本人や家族側にもできる準備があります。介護が限界に近づいてから、すべてを一度に頼もうとすると、希望する支援をすぐに受けられないことがあります。
身体の変化が小さいうちから、
- 地域包括支援センターへ相談する
- 要介護認定の申請を検討する
- 家族ができることとできないことを伝える
- 買い物、通院、食事などの支援方法を確認する
- 住まいの段差や生活動線を見直す
- 緊急時の連絡先を共有する
といった準備を進めることが大切です。
介護サービスだけで、暮らしのすべてを支えることはできません。家族、医療、介護、行政、地域、住まいに関わる事業者が、それぞれの役割を持ってつながる必要があります。
まとめ
2026年4月末の要介護・要支援認定者は738万人です。一方、介護職員は約212万6,000人で、前年からほとんど増えていません。国は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人が必要になると見込んでいます。介護を必要とする人が増える一方で、支える人材の確保は追いついていません。この問題は、介護業界だけで解決するものではありません。
家族だけに負担を戻さず、専門職が本来必要とされる支援に力を使えるようにする。介護以外の生活課題は、地域や別の専門職が分担する。
そして、本人や家族も、困り事が大きくなる前から相談を始める。介護を受けられることが当たり前ではなくなる可能性があるからこそ、早めに暮らし全体を整理し、支援につながっておく意味が大きくなっています。
つづく