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こんにちはキャリーライフ中川です。

自費サービスへの抵抗感を考える

通院への付き添い、買い物、見守り、家事、話し相手。家族だけでは対応しにくい生活の困りごとを、有料の自費サービスへ頼む選択肢が広がっています。

利用を考えたときに、

「家族がすれば、お金はかからない」

「付き添いにまで費用を払うのはもったいない」

「一度使い始めると、支出が増え続けそう」

と感じる家庭は少なくないでしょう。介護保険サービスは原則1割、一定以上の所得がある人は2割または3割の自己負担です。一方、自費介護や介護保険外サービスは、基本的に全額を利用者が負担します。この違いが、有料サービスへの大きな心理的な壁になります。

今回は、有料サービスに抵抗を感じる理由と、家族が担う場合にも生じる見えにくい負担、無理なく利用するための考え方を整理します。

目次

1.自費サービスに抵抗を感じるのはなぜか
2.「家族がすれば無料」とは限らない
3.費用を払うことで守れるものもある
4.無理なく利用するための考え方

介護は、長く家族が担うものと考えられてきました。親の通院へ子どもが付き添う。配偶者が食事や入浴を手伝う。実家の掃除や買い物を家族が行う。家族が対応できているうちは、外部へ頼む必要性を感じにくいものです。

本人も、「知らない人を家に入れたくない」「子どもがいるのに、他人へ頼む必要はない」「自分のためにお金を使わせたくない」と考える場合があります。

子ども側にも、「親の介護を人に任せるのは申し訳ない」「自分ができることに、お金を払うのはもったいない」という気持ちが生まれます。

自費サービスには、介護保険のような全国一律の価格がありません。事業者によって、基本料金、交通費、延長料金、早朝・夜間料金、キャンセル料などが異なります。何をどこまで頼めるのか、最終的にいくらになるのかが分かりにくいことも、利用をためらう理由になります。経済産業省は、介護保険外サービスを安心して選べる環境を整えるため、生活支援サービス事業者向けの自主ガイドラインを公表しています。契約内容、料金、対応範囲、事故時の対応などを、利用者へ分かりやすく説明することが重視されています。有料サービスへの抵抗感は、単にお金を出したくないからではありません。

家族としての責任、知らない事業者への不安、料金の分かりにくさが重なっています。

家族が通院に付き添えば、サービス利用料は発生しません。家族が行う介護にも時間と費用がかかっています。

例えば、遠方から実家へ行く場合には、交通費や宿泊費が必要になります。平日に通院へ付き添うため、仕事を休むこともあります。買い物、掃除、服薬確認、病院との連絡などが重なれば、休日の多くを介護に使うこともあります。

介護をしながら働いている人は、2022年時点で約365万人です。介護を理由に仕事を離れた人も年間約10万6,000人おり、仕事と介護の両立は多くの家庭に関係する問題になっています。

家族が介護を担う場合に生じる負担には、次のようなものがあります。

  • 仕事を休むことによる収入や評価への影響
  • 実家までの交通費
  • 自分の家庭や子育てに使える時間の減少
  • 睡眠不足や身体的な疲労
  • 配偶者や兄弟姉妹との役割の偏り
  • 親子関係が介護だけの関係になること
  • 介護離職による将来収入や年金への影響

これらは、請求書として目に見える支出ではありません。そのため、「家族が対応すれば無料」と考えやすくなります。家族の時間や健康、仕事への影響まで含めれば、何の負担も生じていないわけではありません。

特に注意したいのが、一人の家族に役割が集中することです。近くに住む子ども、仕事の時間を調整しやすい人、兄弟姉妹の中で相談を受けやすい人へ、通院、買い物、金銭管理、緊急対応が偏ることがあります。費用をかけないために家族だけで対応し続けた結果、介護する人が働けなくなったり、体調を崩したりすれば、家庭全体の負担はさらに大きくなります。

自費サービスへお金を払う価値は、依頼した作業の量だけでは決まりません。

通院同行を頼むことで、家族が毎回仕事を休まずに済む。見守りを利用することで、介護する配偶者が病院や買い物へ行ける。家事を任せることで、家族が掃除ではなく、本人との会話に時間を使える。費用を払うことで、家族の生活や関係を守れる場合があります。

▪本人の生活を広げる

介護保険では対応しにくい、美容院、墓参り、趣味、友人との外出などを、自費の同行サービスで支えられることがあります。本人にとっては、単なる移動ではありません。

自分の希望で外出し、人と会い、これまでの生活を続ける機会になります。

▪家族の役割を介護だけにしない

家族が訪問するたびに、掃除、買い物、病院、書類確認で時間が終わることがあります。

一部を外部へ任せれば、親子として話す時間や、一緒に食事をする時間を持ちやすくなります。家族にしかできないことと、外部へ任せられることを分ける視点が必要です。

▪在宅生活を続ける時間をつくる

一人での通院や買い物が難しくなっても、必要な部分を自費サービスで補えば、すぐに施設入居を決めず、自宅での生活を続けられる場合があります。自費サービスは、介護保険の代わりではありません。介護保険の対象となるサービスと内容や時間、費用を明確に区分したうえで、併用することができます。本人の状態が変われば、ケアマネジャー、地域包括支援センター、医療機関などへ相談するきっかけにもなります。

▪介護を続ける人を休ませる

介護は、数日だけ頑張れば終わるとは限りません。数か月、数年と続く可能性があります。

介護する人が休むことは、本人を見放すことではありません。介護を長く続けるために、体力や気持ちを保つことです。

有料サービスは、家族の代わりになるというより、家族が無理をしすぎないための支えと考えられます。

自費サービスが役立つからといって、暮らしのすべてを有料サービスへ切り替える必要はありません。家計の状況や本人の希望に合わせて、必要な部分だけ利用します。

▪最初に公的サービスを確認する

通院、入浴、家事、福祉用具などは、本人の状態やケアプランによって介護保険の対象になる場合があります。まずはケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談し、公的な制度で利用できる支援を確認します。自治体独自の配食、移動、見守り、家事支援などが設けられている地域もあります。そのうえで不足する部分を、自費サービスで補います。

▪困っていることを一つに絞る

最初から複数のサービスを契約すると、費用も内容も分かりにくくなります。

例えば、

  • 月1回の通院同行
  • 週1回の買い物
  • 家族が不在になる日の見守り
  • 入退院時だけの付き添い

など、現在最も負担になっていることから試します。

一度利用して、本人との相性や家族の負担がどの程度変わったかを確認します。

▪月額の上限を決める

1回の料金だけでなく、月に何回利用するのかを決めます。

例えば月額1万円、2万円など、家計の中で無理なく継続できる上限を設定します。介護は長期化する可能性があるため、短期間だけ使うのか、継続利用するのかも整理します。

▪家族が担う場合と比較する

単純なサービス料金だけではなく、

  • 家族の交通費
  • 仕事を休む時間
  • 移動時間
  • 身体的・精神的な負担
  • 兄弟姉妹間の役割分担

まで含めて比較します。自費サービスの方が安いとは限りません。

反対に、家族の負担まで含めれば、利用する意味が大きい場合もあります。

▪契約内容を確認する

自費サービスは、事業者によって内容と料金が異なります。

利用前には、

  • 基本料金と追加費用
  • 最低利用時間
  • 交通費や出張費
  • キャンセル料
  • 対応できないこと
  • 職員の資格や研修
  • 緊急時の連絡方法
  • 事故や破損への補償
  • 個人情報の扱い
  • 契約解除の条件

介護保険外の生活支援サービスでは、判断能力が低下する可能性のある高齢者が利用することもあるため、料金や契約を分かりやすく説明し、本人の理解と同意を確保することが重要とされています。

自費介護や介護保険外サービスは、原則として全額自己負担です。介護保険サービスと比べて費用が高く感じられ、「家族がすれば無料なのに」と抵抗を持つことは自然です。

ただ、家族が担う場合にも、時間、交通費、仕事への影響、身体的・精神的な負担が生じています。目に見える料金がないからといって、負担がないわけではありません。

有料サービスを使う意味は、家族の役割をすべて外へ任せることではありません。

通院だけを頼む。家事だけを任せる。月に一度、介護する人が休む時間をつくる。

負担の大きな部分だけを外部へ移すことで、本人の生活と家族の暮らしを両方守れる場合があります。介護にお金を払うことは、ぜいたくや手抜きではありません。

家族が無理をしすぎず、本人との関係を保ちながら介護を続けるための選択肢です。

公的サービスで利用できるものを確認したうえで、何を家族が担い、何を有料サービスへ任せるのか。費用だけではなく、家族の時間と健康も含めて考えることが大切です。

つづく