こんにちはキャリーライフ中川です。
自治体が抱える新たなリスク
国土交通省が2024年に公表した「空き家実態調査」
全国にある約900万戸の空き家のうち、
4割にあたる約360万戸が管理不十分とされています。
放置されたままの住宅が増え続け、
老朽化・倒壊・火災・防犯など、
地域への影響は深刻です。
空き家問題はもはや“個人の課題”ではなく、
自治体が直面する社会リスクへと変化しています。

【目次】
1-1 「管理不十分な空き家」が急増している背景
1-2 自治体が抱える財政負担と制度の限界
2-1 進む「特定空き家」指定と行政代執行
2-2 これから求められる空き家管理の仕組み
1-1 「管理不十分な空き家」が急増している背景
全国の空き家約900万戸のうち約360万戸(40%)が
適切な管理がされていない状態とのこと。
前回(2018年)比で約60万戸増加しています。
特に増えているのが、
所有者が遠方に住む相続空き家や、
家財がそのまま残されている放置型空き家です。
高齢化と相続未登記が重なり、
誰の責任で管理するかが不明確なまま放置される
ケースが増えています。
地方では荒廃住宅が通学路や
隣家に倒れかかる危険事例も多発しています。
1-2 自治体が抱える財政負担と制度の限界
自治体は空き家への対応に追われています。
特定空き家と認定すれば指導・勧告・命令が可能ですが、
解体や修繕にかかる費用は
1棟あたり平均150万円以上(国交省調査)
代執行を実施した場合、
費用回収率はわずか30%台にとどまっています。
空き家対策を進めるほど
自治体の財政負担が重くなる構造なのです。
担当職員の不足も深刻で、
全国の市町村のうち約4割が
専門部署を持たないというデータもあります。
問題を認識していても動かせない
それが現場の実情です。
2-1 進む「特定空き家」指定と行政代執行
2015年に施行された空き家対策特別措置法により、
倒壊や衛生上の危険がある住宅は
特定空き家として指定されます。
2023年度の指定件数は
全国で2万7千件を突破し、過去最多となりました。
指定後に実際に改善されたのは約6割。
残りの4割は、
・所有者と連絡が取れない
・費用負担ができない
対応が進んでいません。
特定空き家の増加は、
今後ますます自治体の業務量と
コストを押し上げると見られます。
2-2 これから求められる空き家管理の仕組み
行政任せでは対応しきれない
今、求められるのは予防的管理と地域連携です。
国は、自治体が民間業者や地域団体と連携して
管理を行う空き家管理モデル事業を推進中。
2024年度からは、自治体・地元企業・NPOが
協働で維持管理を担う制度モデルが始まりました。
今後は、空き家を放置させない仕組みを
どこまで早く整備できるかが、
地域の安全と景観を守る分岐点になります。
問題を放置すれば、
個人の家が地域の負債へと変わる時代です。
空き家対策は、解体でも活用でもなく、
放置しないという意識から始まります。
つづく