こんにちはキャリーライフ中川です。
多くの人ができるだけ自宅で
介護を受けたいと考えています。
厚生労働省の調査によると、
介護が必要になった際に
在宅介護を希望する人は
全体の7割以上にのぼります。
実際には、そのうち約6割が
・受け入れ先が見つからない
・人手が足りない
などの理由で在宅介護を実現できていません。
介護保険制度が整っているはずの日本で、
なぜ“希望と現実のギャップ”が生まれています。

【目次】
1-1 在宅介護を希望する人が増えている背景
1-2 支援体制が追いつかない“現場の限界”
2-1 家族にのしかかる在宅介護の負担
2-2 これからの「支え合い型介護」へ
1-1 在宅介護を希望する人が増えている背景
日本は超高齢社会を迎え、
要介護認定者数は約690万人(2024年)
7割近くが住み慣れた家で暮らしたい
(内閣府・高齢社会白書)
背景には、
・施設に入りたくない
・自分らしい最期を迎えたい
心理的な要因に加え、
介護施設の費用高騰もあります。
全国平均で特別養護老人ホームの
月額費用は約11万円~15万円。
民間の有料老人ホームでは
20万~30万円超が一般的です。
在宅介護なら環境が変わらず、
本人も家族も安心感を持ちやすい。
1-2 支援体制が追いつかない“現場の限界”
理想とは裏腹に、
居宅介護支援事業所の約6割が
新規利用者を断っているという実態があります
(厚労省「介護事業実態調査2024」)
理由として、
・ケアマネジャーの人手不足
・担当件数の限界
一人のケアマネが抱える利用者数は平均40人前後で、
新規を受ける余裕がないという声。
さらに、訪問介護や訪問看護の現場でも、
職員の離職率が20%を超える地域もあるとされ、
支援体制そのものが逼迫。
制度があっても人が足りない。
在宅介護の理想と現実を隔てる最大の壁です。
2-1 家族にのしかかる在宅介護の負担
在宅介護を実現できたとしても、
家族の負担は想像以上です。
内閣府のデータでは、介護者の4人に1人が
身体的・精神的に限界を感じると回答。
年間約10万人が介護離職。
介護は平均4~5年続くとされ、
長期にわたるサポートは
家計・仕事・心身すべてに影響を与えます。
特に24時間見守り、夜間対応、通院付き添いなど、
在宅介護は時間に縛られる生活を生みやすく、
介護者の社会的孤立にもつながります。
家族だけでは支えきれない構造的な課題が、
在宅介護の最大のリスクです。
2-2 これからの「支え合い型介護」へ
在宅介護を続けるためには、
家族だけでなく地域と専門職が連携した
支え合い型介護が欠かせません。
国も2025年問題を見据え、
地域包括ケアシステムを全国で推進しています。
住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体化させること。
たとえば、
訪問医療と介護を組み合わせる居宅医療支援、
地域ボランティアによる
見守りネットワークの整備が進んでいます。
また在宅介護を実現するには、
・段差をなくす
・温度差を減らす
・動線を整える
住まいの環境改善も欠かせません。
介護ができる家は
介護が必要になりにくい家でもあります。
介護を支えるのは制度だけではなく
暮らしそのものの見直しです。
在宅介護は、誰もが望む理想のかたちですが、
現場では人手と制度の限界が重なり、 
多くの家庭が実現できていません。
介護を家族だけの問題にしないこと。
これからの社会全体で共有すべき課題です。
つづく